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  鬼房の秀作を読む  


 小熊座2010年10月号から、新しい企画として、「鬼房の秀

作を読む」を掲載します。

 毎回、鬼房秀句を取り上げ、外部と結社内からそれぞれ

お一人に鑑賞を寄せていただきます。


桜咲き満ちゐて雨の滑り台 『朝の日』 昭和55年刊行

雪解沢いのちひとつをすり減らす 『地 楡』 昭和50年刊行

雲に乗りたしさくさくと水菜嚙み 『瀬 頭』 平成4年刊行

静まらぬ一魂魄や地に枯葉  『何處へ』 昭和59年刊行

ゆるやかに死ぬ海の鳥雪霙  『鳥 食』 昭和52年刊行

盗汗かく雪を煮る夢ばかり見て 『枯 峠』 平成10年刊

飢ゑはわがこころの寄る辺天高し 『枯 峠』 平成10年刊

ぱりぱりと雷蹼が生え出さう 『瀬 頭』 平成4年刊行

人はみな烏を飼へり聖五月 『半跏坐』 平成元年刊行

然るべき荒野はなきかわが端午 『海 溝』 昭和39年刊行

梅雨微光言葉は肚にためて置く 『海 溝』 昭和39年刊行

火山弾(かばね)なきわが遠流の日 『地 楡』 昭和50年刊行

梅林の夜陰に紛る鈴の音  『何處へ』 昭和59年刊行

地にもぐるもろごゑ雪の精を享け  『潮 海』(昭和58年刊)

糸電話ほどの小さな春を待つ 『愛痛きまで』 平成13年刊

翼あるものを休ませ冬干潟 『瀬 頭』 平成4年刊行

極北へ一歩思惟像たらんとす 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

少年にこぼれ落ちさう揚雲雀  『潮 海』(昭和58年刊)

殺されてのちの乳房を思ふ夏  『何處へ』 昭和59年刊行

手の窪に暮しの灰汁(あく)と花びらと 『半跏坐』 平成元年刊行

白けたる桜に吸はれゆく臓腑 『愛痛きまで』 平成13年刊

春昼の遠渚ゆく誰が母か 『地 楡』 昭和50年刊行

春雪や血が滓になる労せぬ日 『海 溝』 昭和39年刊行

身のどこか蝕進むらし雪催  『半跏坐』 平成元年刊行

ただに寒し征夷拠点の藪椿  『何處へ』 昭和59年刊行

声紋をたどれば雪解川の音  『何處へ』 昭和59年刊行

飢ゑはわがこころの寄る辺天高し 『枯 峠』 平成10年刊

曼珠沙華この群れたがるものの朱『半跏坐』 平成元年刊行

地に甘えありて黄落期の日暮  『鳥食』 昭和52年刊行

おもひ閉ぢをれば梅雨ぬれ夕雀 『朝の日』 昭和55年刊行

先を読むことの空しさ半夏雨 『枯 峠』 平成10年刊

影のため光りが判る藪椿 『地 楡』 昭和50年刊行

卓袱台にのせかへてみる鉛玉 『幻 夢』 平成16年刊

冬ざれのわが指ほどの遠き帆船
                 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

寝袋のままで死ねさう銀河行 『幻 夢』 平成16年刊

大寒のすだま寄り添ふ寝入り端 『愛痛きまで』平成13年刊

ひよろひよろと烏柄杓が影を出る 『霜の聲』 平成7年刊

いつ舌を出すのか蜥蜴緑なす 『幻 夢』 平成16年刊

白桃を食ふほの紅きところより 『瀬 頭』 平成4年刊行

鉛筆を握りて蝶の夢を見る 『幻 夢』 平成16年刊

澱みなすこの世さながら梅雨深む 『幻 夢』 平成16年刊

血を吐かぬほととぎすなど用はなし 『幻 夢』 平成16年刊

母の遺影いよいよ(かしこ)残り雪 『幻 夢』 平成16年刊

生きてあれば癈兵の霊梅雨びつしり
                 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

眼窩よりこぼれし金亀虫の闇 『半跏坐』 平成元年刊行

いねし子に虹たつも吾悲壮なり 『夜の崖』 昭和30年刊行

殺められたし空谷の桜どき 『枯 峠』 平成10年刊

追儺豆踏みしばかりに眠られぬ 『瀬 頭』 平成4年刊行

悪霊のごと花びらは掬ふべし 『海 溝』 昭和39年刊行

打撲痣身に覚えあり螢沢 『枯 峠』 平成10年刊

夜桜や小人になれば死なず済む 『幻 夢』 平成16年刊

明日は死ぬ花の地獄と思ふべし 『幻 夢』 平成16年刊

羽抜鶏胸の熱くてうづくまる 『瀬 頭』 平成4年刊行

みちのくに生れて老いて萩を愛づ 『幻 夢』 平成16年刊

水飲んで首のばしたる羽抜鶏 『瀬 頭』 平成4年刊行

生き死にの死の側ともす落蛍 『地 楡』 昭和50年刊行

沖から雨親なしのごと子ら睦み 『海 溝』 昭和39年刊行

子の寝顔這ふ蛍火よ食へざる詩 『夜の崖』 昭和30年刊行

弘前は天守を泛べ花万朶 『半跏坐』 平成元年刊行

寒の明け頭たたけばごぼと鳴る 『枯 峠』 平成10年刊

雪吊は雪の太弦音もなし 『半跏坐』 平成元年刊行

成熟が死か麦秋の瀬音して 『地 楡』 昭和50年刊行

蝦夷以前より日向谷猫柳  『鳥食』 昭和52年刊行

大ひでり吾が前に馬歯をならす
                 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

いまにして母の死想ふ木守柿 『霜の聲』 平成7年刊

混沌と生き痩畑を耕せリ 『幻 夢』 平成16年刊

ほら吹きになりたや春の一番に 『枯 峠』 平成10年刊

鬼やんま沼を突きぬけ帰り来ず 『枯 峠』 平成10年刊

八月の雨の肋を探り居る  『鳥 食』 昭和52年刊行

柘植の櫛嗅いでは母をたしかめる 『枯 峠』 平成10年刊

死に場所のない藻がらみの俺は雑魚『枯峠』 平成10年刊

狼星が盗汗の胸にはりついて 『瀬 頭』 平成4年刊行

嘔吐する兵なりハンカチを洋に落す
                 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

目を落とすとは死ぬことぞ雪兎 『愛痛きまで』平成13年刊行

勿来とはわが名なるべし春の川 『瀬 頭』 平成4年刊行

乱れなき囀よ飢透きとほり 『朝の日』 昭和55年刊行

夏病みの狼となり夜を尿る 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

空つぽの郵便受に蝸牛  『鳥 食』 昭和52年刊行

頬杖を解く冬至粥食はんため  『鳥 食』 昭和52年刊行

釡神の裏側の夏棲みよけれ 『瀬 頭』 平成4年刊行

首根つこ抑へて息をつぐ晩夏 『瀬 頭』 平成4年刊行

潮ぬめる路地に燈がさし羽蟻とぶ 『海 溝』 昭和39年刊行

水鳥のその思ひ羽を初夢に 『枯 峠』 平成10年刊行

おろかゆゑおのれを愛す桐の花 『瀬 頭』 平成4年刊所収

不死男忌や時計ばかりがコチコチと
                 『愛痛きまで』平成13年刊行


日向ぼこしており夢の靺鞨で 『瀬 頭』 平成4年刊行

わが晩夏どろの木に火の鳥を懸け『朝の日』 昭和55年刊行

菜の花を食ひすぎて脳毀れたる 『霜の聲』 平成7年刊行

かさぶたの戦後老いたる櫓のしきり『鹹き手』 平成7年刊行

薄目あけががんぼに付き合ってゐる
                 『愛痛きまで』平成13年刊行


地より湧く蛍火なりき胸苦し 『霜の聲』 平成7年刊行

暑き夜の惡魔がをはづしゐる『愛痛きまで』平成13年刊行

宮城野の萩の下葉に死後も待つ『愛痛きまで』平成13年刊行

鬼貫の齢を生きて門火焚く 『愛痛きまで』平成13年刊行

きさらぎの満月であるホームレス『愛痛きまで』平成13年刊行

戦こばみ続けて眼窩だけ残る 『愛痛きまで』 平成13年刊行

大寒のすだま寄り添ふ寝入り端
                   『愛痛きまで』 平成13年刊行


孤狼として死ぬほかはなし病む晩夏
                   『愛痛きまで』 平成13年刊行


鶯やわれのみならず藪ごのみ 『半跏坐』 平成元年刊行

芭蕉似は弱きはらわた冬紅葉 『瀬 頭』 平成4年刊行

不死男忌や時計ばかりがコチコチと
                  『愛痛きまで』 平成13年刊行

寒食の真似事なれど涙出づ 『幻 夢』 平成16年刊行

人買が来る熟れ麦の夜風負ひ  『何處へ』 昭和59年刊行

年立つて耳順ぞ何に殉ずべき 『朝の日』 昭和55年刊行

死が見えて死後が見えざる黴の夜 『鳥 食』 昭和52年刊行

妄想を懐いて明日も春を待つ 『幻 夢』 平成16年刊行

夕鵙や遠きは遠く思ふのみ 『何処へ』 昭和59年刊行

ものわかりよくて不実や泥鰌鍋 『瀬 頭』 平成4年刊行

除夜の湯に有難くなりそこねたる 『瀬 頭』 平成4年刊行

魚臭き母帰り来て粗朶を燃す 『枯 峠』 平成10年刊行

翅を欠き大いなる死へ急ぐ蟻 『幻 夢』 平成16年刊行

縄文の漁が見ゆ藻屑の火 『霜の聲』 平成7年刊行

むきだしの岩になりたや雷雨浴び 『枯 峠』 平成10年刊行

蟻地獄ほどの窪みに睡り落つ 『地 楡』 昭和50年刊行

吾のみの弔旗を胸に畑を打つ『名もなき日夜』 昭和26年刊行

生きてまぐはふきさらぎの望の夜 『朝の日』 昭和55年刊行

パセリ嚙む蓬髪の眼は充血し 『夜の崖』 昭和30年刊行

潮びたる陰毛流失感兆す 『海 溝』 昭和39年刊行

この世にて桐の残花の日暮見ゆ 『半跏坐』 平成元年刊行

金借りて冬本郷の坂くだる 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

新月や蛸壺に目が生える頃  『何處へ』 昭和59年刊行

もし泣くとすれば火男頬かむり 『潮 海』 昭和58年刊行

冬山が抱く没日よ魚売る母 『夜の崖』 昭和30年刊行

あてもなく雪形の蝶探しに行く 『枯 峠』 平成10年刊行

蝦蟇よわれ混沌として存へん 『枯 峠』 平成10年刊行

佐保姫の裳裾の沖を遠眺め 『半跏坐』 平成元年刊行

胸に扉がいくつもありて土用波 『半跏坐』 平成元年刊行

もしかして俺は善知鳥のなれのはて 『枯峠』 平成10年刊行

鉛筆を握りて蝶の夢を見る   『幻 夢』 平成16年刊行

夏草に糞まるここに家たてんか
                 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

綾取の橋が崩れる雪催  『何處へ』 昭和59年刊行

鳥食のわが呼吸音油照り  『鳥 食』 昭和52年刊行

むささびの夜がたりの父わが胸に
                 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

またの世は旅の花火師命懸  『愛痛きまで』 平成13年刊行

秘仏とは女体なるべし稲の花 『霜の聲』 平成7年刊行


のこされし二本の脛とたそがれと
                 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

生きて食ふ一粒の飯美しき 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

鶺鴒の一瞬われに岩のこる 『夜の崖』 昭和30年刊行

恋に死ぬことが出来るか枯柏 『枯 峠』 平成10年刊行

帰りなん春曙の胎内へ 『枯 峠』 平成10年刊行

雪兎雪被て見えずなりにけり 『半跏坐』 平成元年刊行

半跏坐の内なる吾や五月闇 『半跏坐』 平成元年刊行

馬の目に雪ふり湾をひたぬらす 『海 溝』 昭和39年刊行

海嶺はわが栖なり霜の聲 『霜の』 平成7年刊行

北冥ニ魚アリ盲ヒ死齢越ユ 『枯 峠』 平成10年刊行

吐瀉のたび身内をミカドアゲハ過ぐ 『鳥 食』 昭和52年刊行

いつの世の修羅とも知れず春みぞれ
                   『愛痛きまで』 平成13年刊行

吾にとどかぬ沙漠で靴を縫ふ妻よ 『海 溝』 昭和39年刊行

鳥帰る無辺の光追ひながら 『瀬 頭』 平成4年刊行

胸ふかく鶴は栖めりきKaoKaoと『名もなき日夜』昭和26年刊行

女児の手に海の小石も睡りたる 『海 溝』 昭和39年刊行

やませ来るいたちのやうにしなやかに『瀬 頭』平成4年刊行

毛皮はぐ日中桜満開に 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

長距離寝台列車のスパークを浴び白長須鯨
                    『瀬 頭』 平成4年刊行

ひばり野に父なる額うちわられ 『地 楡』 昭和50年刊行

壮麗の残党であれ遠山火 『半跏坐』 平成元年刊行

みちのくは底知れぬ国大熊生く 『瀬 頭』 平成4年刊行

陰に生る麦尊けれ青山河 『地 楡』 昭和50年刊行

齢来て娶るや寒き夜の崖 『夜の崖』 昭和30年刊行

切株があり愚直の斧があり 『名もなき日夜』 昭和26年刊行

縄とびの寒暮いたみし馬車通る 『夜の崖』 昭和30年刊行







         
       
  徘徊漫歩 

  1 鬼房宅訪問       2014/1    
  2 「小熊座」の創刊    2014/2
  3 鬼房俳句の解説者    2014/3

  4 鬼房の第八句集「何処へ」
                 2014/4

  5 鬼房自らの俳句を語る 2014/5
  6 鬼房の作句法      2014/6
  7 ネオリアリズム      2014/7
  8 小熊座創刊一周年   2014/8
  9 鬼房の大手術       2014/9
  10 実存主義        2014/10   
  11 詩語の開拓      2014/11   
   12 俳句尽忠         2014/12
  13 栗林千津         2015/1
  14 術後のおでん      2015/2
  15 鬼房の書         2015/3
  16 独学のすすめ      2015/4
  17 鬼房語録「咬ませ犬」 2015/5
  18 鬼房俳句と詩     2015/6
  19 黒田喜夫        2015/7
  20 涌谷の鬼房句碑    2015/8
  21 弱者の視点       2015/9
  22 ヒューマニズム     2015/10
  23 前衛意識        2015/11
  24 鬼房の「姉」の句   2015/12
  25 狐が大好き (完)  2016/1
     
 
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