小 熊 座 2022/10    №449 当月佳作抄
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     2022/10   №449   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    天空へ及ぶことなし蟻の列            渡辺誠一郎

    奥深き家の蜱なり御居処刺す           津髙里永子

    むづかしき言葉は言葉は知らず胡瓜嚙む       永野 シン

    梅雨夕焼言葉溜れば息苦し            久保 羯鼓

    陸奥の空陸奥の稲の波              𠮷野 秀彦

    自由とは頼り無きもの海月浮く          蘇武 啓子

    蟻潰すごめんと言ってまた潰す          岡田とみ子

    羽生結弦引退号外揚羽舞ふ            小野  豊

    夏草やすべて針金ではないか           森  青萄

    その前でものを思うな曼珠沙華          阿部ゑみ子

    戦後とは永劫なりし今朝の秋           関根 かな

    友の死を友に告げたる夏の暮          水月 りの

    ひまわりの揃いも揃いむこう向き         八島ジュン

    田園は冠水のまま夕かなかな           髙橋  薫

    大欠伸して噴水を止めにけり           𠮷沢 美香

    「幸呼来」の声で崩るるかき氷          檜野美果子

    永遠の自由与えるラムネかな           斎藤 友大

    やり終えしこと何もなし羽抜鳥          大坂 宏子

    二重虹だいだらぼっちの大欠伸           小笠原祐子

    熱の子へ祭囃子の近づきぬ            小野 道子

    百までは三年あると涼しそう           山内 伸一





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