小 熊 座 2022/9    №448 当月佳作抄
TOPへ戻る  INDEXへ戻る



     2022/9   №448   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    深海に思考する百合歩きもする         増田 陽一

    夕虹を一飲みしたし最晩年            土見敬志郎

    口が歪んでゐるよ晩夏のゴミ袋         山田 桃晃

    籠枕星軋み合う音のして             土屋 遊蛍

    いろいろあったが死ぬこともなく竹の花     八島 岳洋

    これほどの大夕焼にひとりかな          日下 節子

    こちら小惑星捩花と交信す            佐川 盟子

    屋根裏の昏れて雨音巴里祭           津髙里永子

    なめくぢり非常口にて絶命す           植木 國夫

    縄文の太き柱と雲の峰              平山 北舟

    夏の月煌々としてディストピア           杉  美春

    人形焼のつり目たれ目や戻り梅雨       𠮷野 秀彦

    王水に溶け残りたる西日かな          八島ジュン

    水溜りにはまって虹に笑われる         千葉 和珠

    透けてより溶くるラードや土用前         樫本 由貴

    起し絵のやうに戦がまたしても          大久保和子

    生きていても死んでいても浮く海月       江原  文

    八百年捩れし柏槇青葉風            布田三保子

    捨てし句の中より蛍生まれけり         森田 倫子

    遠雷や今宵彼の世へ逢いに行く        佐竹 伸一

    飛べなくてアイスクリーム掬ひゐる       𠮷沢 美香

    夕されば山百合の魂剝き出しに        馬場 小零

    禍の禊のごとき緑雨かな             林   衿

    角帯は貝の口にて青田風            平井 照子

    雷光やカレーに膜が張っている         檜野美果子

    イカロスの蝋滴滴と瓜の花            黒河内玉枝

    姿見の何でも映し秋涼し             阿部ゑみ子

    夕空の後の星空粽結ふ             斎藤真里子

    サングラス越しに沖縄そばを見る        斎藤 友大

    銀蝿も地球の貴重な一部品           鈴木  隆

    万緑を吸ひ込み貨車が動き出す        鈴木 純子

    花すみれ吾に仏の兄妹             佐藤真理子





パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
  copyright(C) kogumaza All rights reserved