小熊座 句 集
    吉野秀彦
      


朔出版
定価 2000円+税
  
    
 『 音 』    吉野秀彦


 吉野秀彦(よしの・しゅうげん)

 1959(昭和34年)生まれ
 少年時代、「野の会」主宰・楠本憲吉に私淑
 大正大学大学院修士課程修了(梵文学)
 平成20年より、「小熊座」主宰・高野ムツオに師事
 平成26年、第一句集『子雀』(ふらんす堂)上梓
 
 


   高野ムツオ 帯(序)より 


   一茶ゆかりの炎天寺住職 吉野秀彦の俳句には、何とも言えな

  い温もりがある。

   生き物すべてを優しく見つめ包み込む豊かさがある。

   春の夕闇に湧き上がり、いつまでも続く蛙の声のようだ。

   氏がこよなく愛するロックの響きのようだ。




   
高野ムツオ 十五句選


  隕石の道のり淋し春の夜

  一羽とも二羽とも聞こゆ鴉の子


  羽化をして眠る蝉おり広島忌

  セイロンは涙のかたち夕野分


  
新年の息まで吸ってハーモニカ

  地に触れてみな魂
魄や春の雪

  明日は無きはらからばかり蛙の子

  我々は根っこなきもの秋出水

  弾薬庫抱く山ありクリスマス

  自転して夜が産まれて春の潮

  霜柱踏めば息する寺領かな

  殺すとは生き残ること冬の鷺

  芽吹くもの汝が名を述べよ大空へ

  石子詰の石の重さや青楓

  冬晴やわが荒魂として尿





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