小熊座 句 集
 星の壺  土屋遊螢
      


現代俳句協会
頒価 2500円

    
 『星の壺』    土屋遊螢


 土屋遊螢(つちや・ゆうけい)

 昭和19年  宮城県女川町に生る
 平成 5年  「小熊座」入会
 平成10年  「小熊座」同人
 平成20年  第33回宮城県俳句賞受賞

 


   高野ムツオ 帯(序)より 


   今はこの世にないものへの追慕と希求とが土屋遊螢を十七音の

  世界へと突き動かし、その不可能性が孤独の炎をいっそう燃え上

  がらせている。卑弥呼のように見えないものを口寄せしている。




   
高野ムツオ選 十句


  月光を載せて傾く皿秤

  霜の夜の赤子わずかに発光す


  蠅生れてはなびら程の影を生む

  三陸の気風の底赤子泣く


  
朝暁や酢の金色を飯に打つ

  開くたび墓標が見える揚花火


  半身をずずこに埋め童子仏

  大寒の動きて止まぬ牛の舌

  沖よりの宝風とよ白子干し

  座頭鯨の闇陸奥の闇にあり





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