小熊座 句 集
 風の行方  志摩陽子
      


文學の森
定価 2500円+税

    
 『風の行方』    志摩陽子


 志摩陽子(しま・ようこ)

 昭和16年  栃木県生まれ
 昭和20年〜38年  父母の郷里長野県で過ごす
 平成 2年  「遠矢」創刊より入会、のち同人
 平成10年  俳句協会会員
 平成13年  NHK学園俳句講座講師
          「遠矢」大会
          「濱」入会、のち同人
 平成22年  「濱」退会
 平成23年  「円座」創刊より参加、のち同人、30号にて退会
          「小熊座」入会、のち同人
 平成28年  第一句集『遠き日』上梓
 平成30年  文學の森賞入賞

 


  穂芒に風の行方を尋ねけり


   志摩陽子さんの句の世界は生きている。風景に動きがあり、人

  間や動物には呼吸がある。そして、新鮮な視点によって醸し出さ

  れる描写には懐かしさがある。

                    大輪靖宏 帯(序)より 




   
高野ムツオ  抄出


  花疲れ癒すに花を見てゐたり

  霧押して馬の臭ひの近づきぬ


  諸膝の座して豊や年賀客

  地のぬくみ分け合ふごとし二輪草

  繋留の船のぐらりとちやつきらこ

  ばあさんの馳走ですがな浅蜊汁


  親つばめさぞかし腹の空くだらう

  潮風のかけらとなりて夏落葉

  宙に星地には鐘の音去年今年

  車前草の花踏まれても轢かれても

  花の夜の風の港に船きしむ

  青き踏む島の向かうに島浮かぶ

  白百合の白をまぶしむ旅疲れ

  蒼穹は永久のあこがれ水馬


  陽と風に磨かれ滝の凍てにけり





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