小 熊 座 2020/12    №427 当月佳作抄
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     2020/12   №427   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    吾亦紅摘むかに折れし背骨かな             浪山 克彦

    鶏卵の影を生みたる秋の風                土見敬志郎

    言訳は早口団栗はころころ                髙橋 彩子

    一葉落つ疫病は天に及びしか               渡辺誠一郎

    冷やかや働き過ぎし雑巾と                 郡山やゑ子

    秋風に乗りて傘寿や儘ならず               永野 シン

    山神と葡萄の蔓と引き合いぬ               蘇武 啓子

    ひめむかしよもぎ除染夫の国訛り             植木 國夫

    コスモスのやう集まれる日は来るか           水戸 勇喜

    きのこ山きのこ瞬間移動する               沢木 美子

    尻曲げて魑魅の宿る秋茄子                山田 桃晃

    野菊より風の生まれて鬼子母神             神野礼モン

    電照菊畑エイサー通りゆく                 中村  春

    銀河濃し折れ線グラフが示す死者            杉  美春

    晒しよし飴解れゆく夜長                  髙橋  薫

    世の恋の数だけ林檎赤くなる               佐竹 伸一

    朝の日を浴びて露草動き出す               斎藤真里子

    まばたきを集めて月の重くなる              千倉 由穗

    スカートの中は肉塊秋暑し                 菅原はなめ

    射干玉の鴉の羽と秋惜しむ                村上 花牛

    砂の音波の音して天の川                 丸山千代子

    柿日和リュックの口の開いてをり             棟方 礼子

    耳朶は光の重さ薄紅葉                   𠮷沢 美香

    稲を刈るコンバインの音父は亡し             鈴木登喜子

    父似の手母似の声や零余子飯              斎藤真里子

    WiFi飛ぶ虫籠置くが置くまいが              草野志津久

    山側は葛のうねりや五能線                阿部ゑみ子

    街角や秋燕はいま海の上                 八島ジュン

    アフリカにも秋風のありダチョウの眼           小野 道子

    複眼をはみ出している秋夕焼               石川 澄子

    ネクタリンをのこの愚痴の永久を聞き          樫本 由貴





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