小 熊 座 2020/2    №417 当月佳作抄
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     2020/2   №417   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    倒木の声を聞くなら霜日和                渡辺誠一郎

    開く時金剛力の冬牡丹                  土見敬志郎

    老骨と呼ぶ骨はなし大冬木               浪山 克彦

    木枯来よ東京の空ひろげに来よ            我妻 民雄

    蛇眠る古墳につづく地面かな              上野まさい

    地を蹴って凩蹴ってストライダー            日下 節子

    北風に色あるならば沖の色               小笠原弘子

    鳴く声も漆黒であり梟は                 阿部 菁女

    寝たきりは転ぶ事無し漱石忌              野田青玲子

    海荒れて川また荒れて野水仙             植木 國夫

    綿虫に遡らむとする力                  佐藤 弘子

    木枯や女滝の飛沫きらきらと              中村  春

    太陽へ瑠璃奉る霜柱                   村上 花牛

    息を吐くたびに綿虫増えてくる             伊澤二三子

    東京タワーもいつかは廃墟夜の雪          菅原はなめ

    断頭の後に毟りて菊食す                岡村 直子

    冬蝶となる老犬の眠りかな               須藤  結

    裸木に骨髄ありて直立す                池田 紀子

    死と同じ数の十字架雪もよひ             小田島 渚

    一塔と数えたき杉霧の中                阿部ゑみこ

    雪降り積む太郎の屋根に原子炉に         草野志津久

    反骨は壺に入らず藪柑子               宗像眞知子

    みちのくの泪の化身雪蛍               菅原 若水





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