小 熊 座 2019/12    №415 当月佳作抄
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     2019/12   №415   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    曼珠沙華執念の蕊かかげゐる          我妻 民雄

    ひとりとは影も一つや小鳥来る          日下 節子

    ひらめの目砂中にありて野分去る        増田 陽一

    歩き巫女ほどの艶なり秋茄子           沢木 美子

    畦焼いて灯ともす村の一握り           土屋 遊蛍

    十六夜の砂漠に眠る背美鯨            中村  春

    言の葉の絶ゆる場所あり金魚忌         長谷川克史

    伊予和紙を指でめくれば秋の風          丸山みづほ

    子規の咳伊予蝋燭の火が揺れる         中鉢 陽子

    苦瓜のような顔して否と言う            佐竹 伸一

    戦争に足音なくて鳳仙花              四戸美佐子

    故郷捨てし事実変はらず栗ご飯          小野  豊

    秋出水ひとかたまりに村灯る            江原  文

    火の山は鼓動を刻み豊の秋            田中  充

    絹雲やトラツクに豚つつきあふ          𠮷沢 美香

    満月や埴輪またたく瞼なし             斎藤真里子

    臨月のごとき砂丘や秋の蝶            小田島 渚

    次はどの雲に乗ろうか秋麗            岡田とみ子

    凍星の大三角や眉の上              小野 郁巴

    心臓の輪郭であり月である            八島ジュン

    足二本ペタルも二つ秋桜              板垣  茂

    東京に群れて孤独な赤とんぼ           亀山 行房





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