小 熊 座 2014/11   №354 当月佳作抄
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     2014/11  №354   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    蛍草海流に音あるやなし                我妻 民雄

    金華山浮かぶ沖より雁渡し               小笠原弘子

    変哲もなき余生なり秋の雨               阿部 流水

    卑弥呼以前神は大足木の実降る           栗林  浩

    流燈の明かりの中の流燈会              永野 シン

    戦前の前も戦後や秋扇                 渡辺誠一郎

    秋来ぬと畳に木々の影寄り来              瀬古 篤丸

    水門のしぶきの翼梅雨明ける              秋元 幸治

    ふくしまの汚染なきほど秋澄めり            志摩 陽子

    親しげに来しががんぼの脚足らず           森  黄耿

    朝から詩つくる貧乏赤のまま               さがあとり

    鱗雲明日を迎へにゆく形                 松岡 百恵

    宵闇のまな板に烏賊発光す               増田 陽一

    百発の花火といえど山が邪魔              髙橋 彩子

    火の元は我が胸中に曼珠沙華             小野  豊

    野の呼吸すすき二本に残りをり             大久保和子

    除染土として父祖の土積む晩夏            須﨑 敏之

    十薬や草葉の陰と言ふところ              八島 岳洋

    田水沸き雁爪打ちし頃思ふ               田中  滿

    赤とんぼ飛ぶ空がありダム底に             佐藤 レイ

    青空に国境はなし草の花                 中鉢 陽子

    わらう雲ねむる雲あり夏の果               宇井 十間

    翅閉じて何にもどらむ夜の秋               草野志津久

    夢の世に夢見て老ゆる耕衣の忌            長尾  登

    稲雀穂よりしゃらりと零れけり              根木 夏実

    雨傘の重さを感受性と呼ぶ                山本美星子

    曼珠沙華人恋ふときは空を見て             斎藤真里子

    鶏頭のごつと当れば声出すか              久保 羯鼓

    秋風や係累なくて愁ひなし                清水 里美

    新松子海沿ひの道消えてをり              あべあつこ

    竜胆は露こぼす音響かせて               大森  海






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