小 熊 座 2014/10   №353 当月佳作抄
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     2014/10  №353   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    蝶の眼光蟬の眼光森閑たり              増田 陽一

    新涼や明日を見たしと眼鏡拭く             小笠原弘子

    行く夏のからとむらひか沖に船             栗林  浩

    戦争をくぐりて目玉夏に入る              渡辺誠一郎

    仮の世の傘寿といふも海鞘の旬            大澤 保子

    帆立貝万石浦の砂こぼす                阿部 菁女

    夏の月兵の戦争逝きて熄む              阿部宗一郎

    雀蛤となり我れ骨となる                 冨所 大輔

    帰るべき大和の航路台風来               我妻 民雄

    おのが身のひかり知らざり梅雨の鷺          鯉沼 桂子

    七曜はあくまで目安曼珠沙華              大場鬼怒多

    我が住処字一丁目夏草前                柳  正子

    捥ぎ立てのトマトに歯形嗣子なし            永野 シン

    少年の秋思夕空より重く                 関根 かな

    黒楽に濃茶の沈む残暑かな               田村 慶子

    海霧襲ふ仮設の壇の位牌たち             野田青玲子

    朝曇だらりと終はる下り坂                松岡 百恵

    犬猫の墓に隣りて今年竹                 髙橋和か子

    兄であるはずもなかりし赤とんぼ            森田 倫子

    羽化をして眠る蟬おり広島忌              吉野 秀彦

    夏座敷風は黙より生まれくる              佐藤 成之

    もしかして樹液の音か月涼し              佐藤 みね

    蝙蝠とぶ誰にも家族あるように             沢木 美子

    線香花火の閃きすべて魂の声             坂下 遊馬

    炭住の闇の漆黒浮いてこい               清水 里美

    まだ未来あきらめて居ず花茗荷            草野志津久

    蝶の死に群がる蟻の面構                関  春翠

    乱杙歯見せて生き来し生身魂             遠藤 志野

    まず一本杭打ちしより夏祭               斎藤真里子

    魂棚の蓮の葉乾くはやさかな              瀨古 篤丸






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