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 小熊座・月刊 
  


第六回 佐藤鬼房顕彰全国俳句大会


  さる3月24日(日)、塩竈市ふれあいエスプ塩竈を会場に開催された。応募句は、一般

 部門1,
705句、ジュニア部門4、269句。当日句は138句。総数、6,112句。当日参

 加者
220名。当日句と大会記は別途掲載。


  〈一般の部〉

 佐藤鬼房奨励賞

     幾たびか死を浴び返し狗尾草                    武良 竜彦



  茨木和生特選

     一本の筋肉の蛇田の中へ                       上田由美子

     狐火のあたり軍港あったはず                     土屋 遊蛍

     頬被り鬼房貌の北の衆                         長尾  登

   入 選

     春寒や鉄魚と沼の眠りゐる                       太田サチコ

     塩竈の藻塩をふりて鮪かな                       大友セツノ

     両手にて割く白菜の陽の匂ひ                     斎藤みつ子

     どか雪に軋む戸開けてお晩です                    井上 幹彦

     粽結ふ頃のふる里ふと思ふ                      小林  眸

     孫太郎虫はどういう味かしら                      春 待 草

     書初に鹽竈さまと書きにけり                      石山徳治郎

     ちびっ子も寝息は男合歓の花                     上田由美子

     鳥追の声掛合ひに畦を行く                       上村 佳与

     託配できた白神の熊の肉                        佐々木とみ子

     蹴あげる時は右足初蹴鞠                        森山 久代

     帰りたや冬濤響く家だから                        服部 奈美

     美しき小鳥来ており鬼房忌                       齋藤ふく子

     要するに嫌ひなんでしょ人参は                    大野みよ子

     水分の奥の碑小楢の実                         さとうしほり


  
正木ゆう子特選

     幾たびか死を浴び返し狗尾草                     武良 竜彦

     形見なりけり春蘭の木洩日は                     佐藤きみこ

     おどろきて胎仔を撒きし春たなご                   真鍋 純一

   入 選

     海嶺に卒塔婆もあらむ雪が降る                   千坂 希妙

     鉛筆で描く面影や秋の海                        内山かおる

     星の色少し残して初景色                        唯木イツ子

     浮寝鳥底無し沼も何のその                      小泉 一代

     ぶつくさと言ひ通しなり自然薯掘                   山中 弘通

     雪降れば雪のすがたの瓦礫はら                  佐々木とみ子

     生きることただそれだけのつくしんぼ                松本ちひろ

     太陽と子犬をつれて寒見舞                      中村  春

     仮設より島に通ひて冬耕す                      坂上 清子

     帰りたや冬濤響く家だから                       服部 奈美

     柿の実やひとりが好きな人と住み                  芹沢 愛子

     身を流る父母の血そして冬銀河                   増山 ちさ

     永遠と言ってみただけ吾亦紅                     武良 竜彦

     雪兎それでも海へ行きたいと                     関根 かな


  蓬田紀枝子特選

     雪掻きや左右に別れゆく父子                     嶺岸さとし

     初雪や火の見櫓の老いたまふ                     雨谷 方円

     大吹雪来て新生児室のぞく                       丸山千代子

   入 選

     白鳥と空を分け合ふ瓦礫山                      太田サチコ

     手のかたち残して雪の村捨てる                   月村 青衣

     霜柱踏めば津波の破壊音                       安海 信幸

     三角の春田最後に打たれけり                    小林  眸

     被災地の沼のくびれを濡らす雪                   山田 桃晃

     赴任地に戻る父ゐて歌留多かな                   高橋スミ子

     雁の棹車窓に余る長さかな                      木下よしえ

     しづかなる夫婦暮らしの初笑ひ                    小橋さちえ

     水仙を凹む心に挿しにけり                       郡山やゑ子

     寄りかかる何かが欲しき雪催                     中村 孝史

     仮設より島に通ひて冬耕す                      坂上 清子

     姉の子と姉の話を初電話                       すずき巴里

     元日や支援のセーターに手を通す                  尾形 昭子

     セロハンを被て受付のシクラメン                   佐野 久乃

     制服の採寸にゆく雪の道                        おとはすみ子


  高野ムツオ特選

     木枯しに眼のあらば火の色に                     清水 智子

     穭穂に明日はなけれど空広し                     鯉沼 桂子

     冬の蠅饒舌といふ忘れ方                       瀨古 篤子

   入 選

     冬の雁われにもありて蝦夷の血                   土見敬志郎

     石鹸の泡に力や夜の雪                        土屋 遊蛍

     生きる側に選ばれし身や石蕗の花                 小笠原弘子

     東北のいろの寒晴声もたず                      小笠原弘子

     夕星やとにもかくにも餅を搗く                     山田 小織

     蕎麦の花余生の色と立ち止まる                   髙橋 米子

     みちのくの山の残雪みな祈り                     松本ちひろ

     まんさくの花防人の影法師                      山野井朝香

     わたつみの声が押し上ぐ初日かな                 鈴木 三山

     藪入りの光を踏んで父の墓                      さとうしほり

     帰りたや冬濤響く家だから                      服部 奈美

     雪雪雪鬼のこころの色として                     大久保和子

     泥の木は枯れを尽して陸奥の歌                  浪山 克彦

     光りつつ降る雪大川小学校                     関根 かな


  渡辺誠一郎特選

     露の世の残りすくなき昭和の歯                   曽根新五郎

     寒海鼠東北人は生きるべし                     赤崎ゆういち

     わたくしと生きる途中の枇杷の花                 菅野奈美江

   入 選

     鳴き砂の鳴くだけ鳴かす島の秋                   曽根新五郎

     節竹の中の密室多喜二の忌                     渡邊 氣帝

     鬼房はたぶんなきむし帆手祭                     佐々木とみ子

     百代の聞き役として山眠る                       山野井朝香

     寒林に入る己が音聴くために                     春日 石疼

     冬の波一枚剥げば死者の顔                     宮崎  哲

     わたつみの声が押し上ぐ初日かな                  鈴木 三山

     仮の世に生れて仮設の窓の雪                    石垣 絢子

     ポケットに林檎があれば流されぬ                  武良 竜彦

     幾たびか死を浴び返し狗尾草                     武良 竜彦

     レノンの忌ヒトに右手を噛まれたる                  水月 りの

     回転ドア押し討入の日でありぬ                    佐野 久乃

     幼霊を土偶の母が抱く霜夜                       浪山 克彦

     丸見えの古書店大島渚の死                      熊谷 山里

     死は永遠の約束なのか冬椿                      武田香津子

     かごめかごめ籠の中から春の鳥                    内山かおる



  〈ジュニア部門〉

  佐藤鬼房奨励賞

     花びらは返ってこない桜の木    塩竈市立第二小学校 六年 佐藤優太郎


  髙柳克弘特選
   

     恋猫や月への距離は皆同じ      岩手県水沢高等学校 二年 佐藤 和香

     先生と同じ白さや更衣       茨城県結城第二高等学校 二年 田口ゆうこ

     鶴ヶ城ながめて食べるかき氷     塩竈市立第一小学校 六年 阿部 大希

   入 選

     赤とんぼ百ぴきみんなでりゅうのよう
                           

                           塩竈市立杉の入小学校 六年 及川 侑亮

     妹はゆきがふるたび外に出る   塩竈市立第一小学校 三年 長はまこころ

     かぶらかぶらあしたの味噌汁とならむ

                            岩手県水沢高等学校 二年 佐々木槙子

     初詣しきりにさがす親のくつ      塩竈市立第一小学校 六年 境  彩花

     真上からぼくを見おろす桜かな   塩竈市立玉川小学校 四年 酒井 優太

     初雪や心踊らぬ単語帳     岩手県水沢商業高等学校 一年 渡辺 愛理

     冬の虹山のふもとが明るくて

                     長野県安曇野市立豊科南小学校 六年 曽根原杏太

     学校のしょうめんげんかん落ち葉はき

                     長野県安曇野市立豊科南小学校 六年 曽根原杏太

     白雲に呑み込まれたり滝の音 茨城県結城第二高等学校 三年 小山 竜生

     寒い夜星の会話にまぜてもらう  群馬県高﨑北高等学校 一年 原田みのり

     年がじょう友達に送ってなかなおり

                         岐阜県大垣市立西小学校 五年 上田 伶哉

     年守る水の冷たき裏庭で

                       愛媛県済美平成中等教育学校 三年 成本  悠

     サンタさんなかなかこないおふろかな

                          岐阜県大垣市立西小学校 五年 森  星也

     春雨や廃墟となりし保育園   岐阜県飛騨神岡高等学校 三年 宮之腰 楓

     冬の空太陽すぐにねむくなる   仙台市立中野栄小学校 四年 武藤 有雅


  神野紗希特選   

     青空はゆっくりめざせしゃぼん玉

                         茨城県結城第二高等学校 一年 安形 美紀

     小指いつも少し冷たき春の星

                         岐阜県飛騨神岡高等学校 三年 宮之腰 楓

     大さかでたこやき食べてはつわらい

                            塩竈市立第一小学校 二年 大友 春太

   入 選

     きはひととおなじでなぜかいきている

                          塩竈市立月見ヶ丘小学校 五年 及川 璃子

     少年の斜面を照らす冬の月      愛媛県伯方高等学校    山岡 裕紀

     初恋は夏の日のわたがしの甘み

                         岩手県水沢商業高等学校 三年 天久 茉由

     地吹雪やふうふう冷ますミルクティー

                        宮城県小牛田農林高等学校 一年 伊藤  巴

     天道虫たてきる羽の堅さかな

                         茨城県結城第二高等学校 二年 大平 彩由

     氷点下に沼の白鳥かぞえます    登米市立宝江小学校 五年 芳賀 勇樹

     相づちはハミングですね春の雲

                        茨城県立結城第二高等学校 三年 宮田ひかり

     スノボーでこけてばっかし立ちあがり

                         岐阜県大垣市立西小学校 五年 柴田 莉奈

     きり深く何も見えない何もない

                         岐阜県大垣市立西小学校 五年 増田 郁人

     図書館で咳をたよりに父探す

                      福岡海星女子学院附属小学校 六年 藤本 俊介

     金ぱくをちらすようかん春隣

                      福岡海星女子学院附属小学校 六年 真海 星斗

     Are you happy ? 世界は虹でできている

                      愛媛県済美平成中等教育学校 三年 成本  悠

     ひとごみが好きなわたしのあかいくつ

                          仙台市立中野栄小学校 四年 佐藤 美咲

     あったかい弟だいて雪の夜   仙台市立中野栄小学校 四年 伊東ゆいな


  照井翠特選

     必死で生き何を得たのか凍蝶よ  小牛田農林高等学校 三年 山崎 玲佳

     きり深く何も見えない何もない

                          岐阜県大垣市立西小学校 五年 増田 郁人

     花びらは帰ってこない桜の木    塩竈市立第二小学校 六年 佐藤優太郎

   入 選

     背のびして掴むつり革春の風    岩手県水沢高等学校 一年 菊地 香凛

     不器用な父の背中よ冬至粥     愛媛県伯方高等学校    戸川 紗希

     指鳴らす夜の中にあり冬の蝶    愛媛県伯方高等学校    赤瀬 泉希

     冬の虹山のふもとが明るくて

                    長野県安曇野市立豊科南小学校 六年 曽根原杏太

     短日や殊に冷たき額を買ふ      東京開成高等学校 一年 片庭 浩輔

     ソーダー水明日を夢みるための青

                          福島県須賀川高等学校 二年 相馬 智佳

     ひとりでも生きられるんだ鰯雲

                         茨城県結城第二高等学校 二年 大島 千景

     先生と同じ白さや更衣     茨城県結城第二高等学校 二年 田口ゆうこ

     天道虫たてきる羽の固さかな

                         茨城県結城第二高等学校 二年 大平 彩由

     あんぱんの臍をさがして春の雲

                         茨城県結城第二高等学校 三年 萩原 奈菜

     何しても君思い出す春の日よ  群馬県高崎北高等学校 一年 萩原 敏彰

     よりかかる白い土壁啄木忌   群馬県高崎北高等学校 一年 河田玲央奈

     図書館で咳をたよりに父探す

                     福岡県海星女子学院附属小学校 六年 藤本 俊介

     息を止め宛名書きたり年賀状

                      愛媛県済美平成中等教育学校 四年 福本 優衣

     春雨や廃墟となりし保育園   岐阜県飛騨神岡高等学校 三年 宮之腰 楓


  佐藤成之特選
   

     花びらは帰ってこない桜の木    塩竈市立第二小学校 六年 佐藤優太郎

     少年の斜面を照らす冬の月         愛媛県伯方高等学校 山岡 裕紀

     パンジーや裏と表で違う顔     埼玉県川越市立福原中学校 立花 咲良

   入 選

     ばあちゃんが届けてくれたくりごはん

                             塩竈市立第二小学校 六年 髙橋 奏良

     僕達の未来図の中へ雪しまく     愛媛県伯方高等学校    山岡 裕紀

     秋なのにカラオケいくと夏のよう   塩竈市立玉川小学校 六年 高山 晴喜

     雪つもる閑かに積る課題かな

                         岩手県水沢商業高等学校 二年 佐々木春花

     木枯らしやファイルに挟む志望校 小牛田農林高等学校 二年 及川 賢太

     春を待つ待つのは季節だけなのか

                            小牛田農林高等学校 一年 山崎 健幸

     先生の肩幅広く涼新た    愛媛県立松山中央高等学校 二年 田中 萌子

     短日や殊に冷たき額を買ふ      東京開成高等学校 一年 片庭 浩輔

     雪催薬局の棚込み合へり        東京開成高等学校 一年 片庭 浩輔

     ソーダー水明日を夢みるための青

                           福島県須賀川高等学校 二年 相馬 智佳

     教会の扉の匂ひ梅雨の夜   茨城県結城第二高等学校 二年 高橋 映美

     葉桜やひかりをこぼす砂時計

                         茨城県結城第二高等学校 二年 高橋 映美

     天道虫たてきる羽の固さかな 茨城県結城第二高等学校 二年 大平 彩由

     児玉駅戸田家の庭の木守柿  群馬県高崎北高等学校 一年 河田玲央奈

     ひとごみが好きなわたしのあかいくつ

                          仙台市立中野栄小学校 四年 佐藤 美咲



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