小 熊 座 2013/1   №332 当月佳作抄
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     2013/1  №332   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    セシウムと泡立草と蝦夷の地                古山のぼる

    まだ生きてゐます冬菊咲いてます              平松彌榮子

    老残の集まって散る葬一つ                  篠原  飄

    初雁の声残りゐる忘れ水                   土見敬志郎

    夜といふ布ひろげたりるつづれさせ             阿部 菁女

    昼の虫さらには昼の月と星                  松岡 百恵

    湖の沖に日あたる片時雨                   我妻 民雄

    明日という不可思議なもの雁来紅              小笠原弘子

    しほからき日輪とありはせをの忌              浪山 克彦

    秋風も同居している仮住まい                 阿部 流水

    湘南は光の波の十二月                    大場鬼奴多

    冬の崖日輪負ふも寂しけれ                  柳  正子

    神の鈴佛の鐘や年明くる                    田中  滿

    関取の喉輪のような北おろし                 吉野 秀彦

    胎内を覗くやうなり谷紅葉                   宇津志勇三

    ふたり住みふたつの部屋に秋灯                鯉沼 桂子

    草虱あれも口下手ゆえのこと                 蘇武 啓子

    駄々つ子の駄々のかたちに林檎剝く             渡辺 智賀

    熊の皮剝がされ湖の澄みにけり                佐藤 みね

    鼬径踏み来て東京駅に佇つ                  渡邊 氣帝

    芋茎剝き茹でて絞つて母偲ぶ                 宇都宮南山

    セシウムの声か落葉のかそけさは               坂本  豊

    川の字のやうな川なり蘆あかり                 栗林  浩

    フジツボから首出してみる月の夜                河原 千秋

    竜淵に潜みて海のまつさをに                  志摩 陽子






  

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