小 熊 座 2012/11   №330 当月佳作抄
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     2012/11  №330   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    死ぬまでは歳をいただく吾亦紅            上野まさい

    知られざる絶滅もあり秋麗               増田 陽一

    コスモスは尋常一様には揺れぬ            我妻 民雄

    トタン屋根あまねく灼けて後平和            浪山 克彦

    スカイツリーは手を伸ばしたし噴水も         松岡 百恵

    どんぞこに焦土のありし油照り             佐々木とみ子

    死籠繭誰がために降る雨か              佐藤 成之

    天髙し豚舎に子豚犇いて                土屋 遊蛍

    嘘つくと鼻が曲がるよ酔芙蓉              大西  陽

    鏡には映らぬ傷や蟬時雨                関根 かな

    生きるとは林檎の頬の息づかひ            吉本 宣子

    蜘蛛の糸ほどと思へる縁なる             田中 麻衣

    黒揚羽命つなげと告げながら             加茂いつゑ

    ねこじやらしどんな時代に生まれても         遅沢いづみ

    落日の力を借りて南瓜切る               斉藤 雅子

    祈るため鎌を揃えし枯蟷螂               菅原みよ子

    十六夜や皮膚に囲まれたる体             千倉 由穂

    桃の香や今も不明の死者の数             大友セツノ

    兄の死をもって始まる虫の声              森田 倫子

    みちのくの曼荼羅のごと鶏頭花            坂本  豊

    ゴスペルは大地の声か星月夜             斎藤真里子

    エッフェル塔登って来いと鰯雲             亀山 行房

    遺されて陽の燦にあり吾亦紅              山寺佐智子

    鰯雲われの出自も大海ぞ                竹内 葉子




       

 

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