小 熊 座 2012/1   №320 当月佳作抄
TOPへ戻る  INDEXへ戻る






     2012/1  №320   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    茶の花が咲けり童子返りかな          古山のぼる

    芋茎干す鳥食(とりばみ)といふ村の晴           阿部菁女

    初ゆきが降る仏壇に神棚に           佐々木とみ子

    佛にも起源がありて草紅葉            渡辺規翠

    オゾン層のかなしみ唐辛子の赤は        中井洋子

    一枚は陽にとどまりて朴落葉           土見敬志郎

    文化の日地球は土の塊ぞ             上野まさい

    潮枯れの蓮田にしむる津軽三味         大澤保子

    潮騒の隙間にありぬ返り花            小笠原弘子

    蔓たぐりとは太陽をたぐること           佐藤きみこ

    谷間の空がすべての柿日和            田中麻衣

    蔦紅葉掛けて眠れる小学校            浪山克彦

    ひたすらと言う淋しさや草の花           秋元幸治

    真似出来ぬ赤子の仕種小六月          遠藤のぶ子

    裏山に客待つごとし朴落葉             吉本みよ子

    地に書いた電車が動く石蕗日和          蘇武啓子

    蔦紅葉すでに葉でなく火炎かな          俘夷蘭

    冬の鯉にならんと眼みひらきぬ          増田陽一

    永遠にこの世は末世帰り花            さがあとり

    神保町冬日の澱になる途中            松岡百恵

    ブータンへ行こう木の葉の舟に乗り        永野シン

    弾けさうな仁王の眼露寒し              日下節子

    コスモスは頷き合いて幼なかな           武藤民子

    指先に電流走る夜這星               村田斐路子

    笹鳴や朝日を反す一墓群              田村慶子

    人よりも秋津は古し千枚田             春日石疼

    走りても鰯雲の端に触れられず          牛丸幸彦

    湯ざめして地球にたったひとりなる         千葉由穂


  

パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
  copyright(C) kogumaza All rights reserved