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        第四回 佐藤鬼房顕彰全国俳句大会応募部門入選作品


  第四回佐藤鬼房顕彰全国俳句大会は、東日本大震災の影響で残念ながら開催できま

 せんでした。しかし、応募部門の作品は一般、ジュニア部門それぞれ各選者の選を経て、

 ここに発表することができました。顕彰は受賞者に送付することで代えさせて頂きました。

 応募下さった皆さんに厚く御礼申し上げます。

  次年度は、例年通り開催する予定です。応募並びに参加を心よりお待ちしています。

                                        (同大会実行委員会)

  〈一般の部〉
 
  佐藤鬼房奨励賞

     塩竈の竈の書き順鬼房忌                鯉沼 桂子


  金子兜太特選

     人住まぬ如く父住む竜の玉               土屋 遊蛍

     立春大吉スカートの裾に猫                小野寺みち子

     薪くべる誰かとつながっていたい夜           田中 雅秀

   入選

     若き日の放言のよう花ダチュラ             髙橋 森衛

     今日生きて焚火の番を買って出る            清水 智子

     湯婆や父と同じに顔洗う                 服部奈美寿

     重たきは雪降るまでのその時間             松岡 百恵

     牡蠣船の昂然と潮切り往けり              宍戸 禎子

     別るるに人は手を挙げささめ雪             田中 一光

     山始愚直の斧の底力                   山本  透

     ひげ面を撫でてみたよな冬田かな            阿部 陽子

     白菜の尻すこやかな白さかな              栗林 智子

     手の甲にメモするナース冬ぬくし            黒田 利男

     産土の色の深まる枯蟷螂                竹中ひでき

     鬼房を語りたる夜の根深汁               丸山みづほ

     白鳥や夕日果てたる湖のいろ              鈴木 佐和

     山眠る机の上のヘルメット                斎藤真里子

 

  和田悟朗特選

     海苔粗朶の幾何学模様初日影             斎院つねよ

     過ぎし日を手繰る落葉の吹溜              村田斐路子

     観覧車ゆっくり秋を掬いあげ               山内 伸一

   入選

     卒業といふ曖昧な行き止まり              大橋 勇司

     小正月過ぎれば最早年半ば               佐崎 游子

     無一物鷹を名告れば鷹となる              狩野 康子

     春耕や一区画ごと目覚めけり              昆野 克惠

     灯台は海の始まり冬銀河                 土屋 遊蛍

     死者よりも生者が遠し凍晴(しば)れ星         山田 桃晃

     三寒の昨日・今日・明日みな余生            小笠原弘子

     鬼房の直視の光冬の海                  小泉  潤

     寒林は詩の行間を行く如し                名久井清流

     傘立てに冬日と孤独集まり来               関根 かな

     寒鯉の眼光りしまま切らる                菅野 洋子

     雪降れり命の水となるために               小野  豊

     垂直線に水平線の一撃冬青空              大場鬼奴多

     たてよこにのびる倦怠さるすべり             髙橋和か子

     大寒の影の無いもの抱きしめる             武田香津子
 


  蓬田紀枝子特選

     紙雛の倒るる午後の白さかな               津髙里永子

     鏡餅そのなかもっとも晴れ渡る              狩野 康子

     老後ふと臘梅透ける辺りかな               池澤 光子

   入選

     今日生きて焚火の番を買って出る             清水 智子

     からいりの蒟蒻はねる寒日和               酒井美代子

     狛犬の駆け出しにけり大旦                 石山德治郞

     折紙の兎蹴りあぐ昼の月                  横山つよし

     どの柚子もどこかが傷み一つ買ふ             大澤 保子

     枯草も小石もまじる雪だるま                佐藤  毬

     白息の不揃ひとなる大家族                 相田ふみ子

     白鳥の濡れない胸をふくらます               橋本 韶子

     喪の家も白山茶花の日暮時                斉藤 静枝

     老いるとは同じ方見て冬木立                牛丸 幸彦

     読みかけの本には栞除夜の鐘               丸山みづほ

     初詣足を伸して鬼房碑                    佐藤 拓郎

     地下道の歩数は同じ去年今年               吉野 秀彦

     背の順に子ども並んで春を待つ               関根 かな

     子らの瞳のなき時動く雪兎                  山田 史子



  高野ムツオ特選

     一本の裸木としてこの世あり                 村田斐路子

     鬼房の赤坂もまた雪の朝                   田中 旬子

     母語というは白鳥ならば翼かな                俘  夷蘭

   入選

     潮騒の鳴り籠りたる飾り臼                  土見敬志郎

     人日やどの子の声も夕日浴び                富樫 文子

     冬虹の夢を見ている貝釦                   土屋 遊蛍

     一月や神は海蛇を首に捲き                  佐々木とみ子

     飴なめて海を見つめる鬼房忌                 菊地 恵輔

     虎落笛父の土産は袂より                   斉藤 静枝

     しばらくはこの世のかたち朴落葉               伊藤 俊二

     寒林は詩の行間を行く如し                  名久井清流

     連翹や鉄鎖の影を厚くせり                  佐藤 みね

     薄氷に孩児の声の乘つてゐる                土見敬志郎

     貝塚の断面冬の波の音                    八島 岳洋

     海へ出る水裸木をゆらぎ過ぐ                 柳  正子

     杉のちから杉の秀にあり寒明くる               山田 史子

     寒禽の影のみ動く滑り台                    武田香津子

     「こうのとり」二号機通過雪兎                  山内 栄子



  渡辺誠一郎特選

     泣いている魚を見ました春の夜                澤邉 美穂

     光らねば海の悲しき多喜二の忌                土見敬志郎

     鮟鱇の形に脱ぎし晴れ着かな                 熊谷 山里

   入選

     ふくろふにわが晩節を馴らされて               土見敬志郎

     天の庭地の庭凍る陸奥の果                  松本ちひろ

     語部の咳ミッドウェー甲板に                  中村  春

     大寒や砥石の窪み目立ちたる                 酒井美代子

     綿虫を掬ひし日より青き痣                   浪山 克彦

     うづくまる猫の爪切る実朝忌                  板垣美和子

     草萠えや蝶の形の蒙古斑                    菅原みよ子

     行く雲も花野も風のかたちかな                 菅原みよ子

     ただそこに太陽のあり冬木の芽                澤邉 美穂

     小文字にて逢いたしとあり年賀状               加藤喜美江

     別るるに人は手を挙げささめ雪                田中 一光

     春めくや子の前髪を少し切る                  池田 紀子

     冬うらら弁当箱に入れたいな                  宇津志勇三

     亀の背を撫でてゐるなり寝正月                穀田こごみ

     女正月電話を待つてゐるところ                穀田こごみ

 

  〈ジュニア部門〉

  佐藤鬼房奨励賞

     空箱(からばこ)に十一月の日差しかな

                    愛媛県立松山中央高等学校 一年 中村 春香


  髙柳克弘特選

     はつひのでひがしのみなとかがやいた

                       塩竈市立杉の入小学校 五年 青野 茉奈

     大そうじぞうきんのいろかわってく

                   我孫子市立我孫子第四小学校 三年 篠田 愛美

     病院のおばあちゃんへの初日の出

                   我孫子市立我孫子第四小学校 五年 岡本 暁絵


   入選

     雪が降り川にはさけの影あらず

                        塩竈市立第一小学校 六年 佐澤 直迪

     汗の中平清水焼完成す

                          仙台市立館中学校 一年 本郷  謙

     座禅中ケロケロないた雨がえる

                         仙台市立館中学校 一年 小川茉莉奈

     立石寺蝶の羽音も聞こえそう

                          仙台市立館中学校 一年 吉田  耀

     ふりそでを濡らしながら金魚すくい

                          仙台市立館中学校 三年 佐々木 萌

     水仙にさびしそうな仙人一人

                      仙台白百合学園高等学校 三年 泉  雅子

     シャリシャリと霜柱踏む面接日

                        岩手県立水沢商業高等学校 千田 彩香

     祖母にまでそっぽを向いた室の花

                    岩手県立一関第二高等学校 二年 佐藤 佳那

     未成年といふ肩書きや熟蜜柑

                    茨城県立下館第一高等学校 二年 山内 佳織

     冬の虹母泣き止まぬ二階かな

                    愛媛県立松山中央高等学校 二年 今治絵梨花

     冴ゆる夜の少女破滅を歌ひけり

                        愛媛県立松山中央高等学校 入河 大輔

     きらきらと沼が光った初日の出

                   我孫子市立我孫子第四小学校 四年 池田 翔太

     冬の川人の音せず悠悠たり

                        京都府立洛南高等学校 二年 金沢  瞭

     教室は無人のままに聖夜かな

                       京都府立洛南高等学校 二年 谷口 理文

     空っ風姉の二度目の反抗期

                       済美平成中等教育学校 四年 黒田 菜緒



  神野紗希特選

     雪兎涙の奥にうづくまる

                      仙台白百合学園高等学校 三年 長谷川美紀

     のど飴に枯野の風をひとすくい

                     愛媛県立新居浜西高等学校 三年 野住 朋可

     塾終えて一点の星秋深し

                     愛媛県立松山中央高等学校 一年 舛田 亮太

   入選

     葛湯つくって母に恋愛相談

                        済美平成中等教育学校 四年 鎌田 早紀

     ひなまつりひろせせんせいたんじょう日

                         塩竈市立第一小学校 二年 永井 紘夏

     はつひのでひがしのみなとかがやいた

                        塩竈市立杉の入小学校 五年 青野 茉奈

     水音とことりの声の座禅かな

                          仙台市立館中学校 一年 根本恵里奈

     円二つ間に無数の冬銀河

                        済美平成中等教育学校 四年 鎌田 早紀

     兄が去りごはんが減らない冬夕焼

                      仙台白百合学園高等学校 三年 黒須なつき

     ロッカーの色くすみたる冬の夕

                     愛媛県立新居浜西高等学校 二年 真鍋 祐輔

     音だして皮と別れる朱欒かな

                     愛媛県立松山中央高等学校 三年 寺岡  凜

     空箱に十一月の日差しかな

                     愛媛県立松山中央高等学校 一年 中村 春香

     こんじきのすすきのはらのきつねたち

                         塩竈市立第三小学校 六年 鈴木 美玖

     雲の影街がどんどん夜になる

                            塩竈市立第一中学校 柴田 康克

     山百合の雨つぶ光る梅雨明か

                            塩竈市立第一中学校 小野 夏生

     兄弟や影は東に日は西に

                   我孫子市立我孫子第四小学校 五年 谷酒 徹郎

     記念写真冬の夕日に照らされて

                       仙台市立北仙台小学校 四年 一組 一朗

     野晒しの重機の底の霜柱

                       京都府立洛南高等学校 二年 谷口 理文



  照井翠特選

     鏡より声のきこゆる雪女郎

                     愛媛県立松山中央高等学校 三年 寺岡  凜

     山茶花のひたすら白くこぼれけり

                     茨城県立下館第一高等学校 二年 小川 莉奈

     てぶくろの中にはりすの家がある

                   我孫子市立我孫子第四小学校 三年 本間 栞奈

   入選

     秋の(たんぼ)のうかの人が落ち葉を見ている

                         塩竈市立第一小学校 六年 内﨑 裕太

     円二つ間に無数の冬銀河

                        済美平成中等教育学校 四年 鎌田 早紀

     葛湯つくって母に恋愛相談

                        済美平成中等教育学校 四年 鎌田 早紀

     首だけをうごかしている冬雀

                        済美平成中等教育学校 二年 光宗 渓杜

     初春やボタンを力強く留め

                     岩手県立水沢商業高等学校 二年 小野寺美奈

     白木蓮汚れを抱いてくずれ落つ

                     岩手県立一関第二高等学校 二年 小野寺真歩

     冬夕焼けいまだ分からず不等式

                             福島県立葵高等学校 星 有佑子

     祖母の手の枯木をそっと握りゆく

                        東京都立上水高等学校 二年 豊嶋 麻美

     クリスマス時計の針の重なりぬ

                        愛知県立幸田高等学校 二年 赤堀 仁美

     マフラーに一筋残る風の道

                         愛媛県立新居浜西高等学校 久葉 智代

     すっぽりと大根抜けたる楽しさよ

                        愛媛県立弓削高等学校 一年 藤田 悠希

     黄落を少女は天に還しけり

                    愛媛県立松山中央高等学校 二年 今治絵梨花

     スカートに空の溶け込む聖夜かな

                    愛媛県立松山中央高等学校 一年 久保香奈美

     空箱に十一月の日差しかな

                     愛媛県立松山中央高等学校 一年 中村 春香

     うすめても花のにおいのくずゆかな

                   我孫子市立我孫子第四小学校 三年 石澤 伶奈



  佐藤成之特選

     蕗の薹光の世界が呼んでいる

                      仙台白百合学園高等学校 三年 佐藤 愛純

     湯豆腐の角から食べて角に着く

                     愛媛県立松山中央高等学校 三年 寺岡  凜

     私とまわりの温度差霜焼け

                             福島県立葵高等学校 渡部 里菜

   入選

     CDの視聴繰り返して小春

                  三重県四日市市立高田高等学校 二年 品川 由衣

     赤とんぼ秋の手紙を届けるよ

                         塩竈市立第二小学校 六年 相馬佳奈子

     珊瑚礁私も魚の仲間入り

                         塩竈市立第二小学校 六年 草刈 惟那

     初もうで二百二段がそびえたつ

                       塩竈市立杉の入小学校 六年 北郷 七海

     平清水初夏のろくろで皿作り

                          仙台市立館中学校 一年 佐藤 友里

     水音とことりの声の座禅かな

                          仙台市立館中学校 一年 根本恵里奈

     行列を見下ろしている初烏

                      仙台白百合学園高等学校 三年 外崎かすみ

     スカートの裾からそっと春めきぬ

                     愛媛県立新居浜西高等学校 二年 久葉 智代

     はにしみるあおいそらとかきごおり

                         塩竈市立玉川小学校 五年 大宮はると

     グランドは僕等の汗を覚えてる

                      塩竈市立塩竈第一中学校 三年 蜂谷 大樹

     桜の木一年生を待っている

                   我孫子市立我孫子第四小学校 六年 石田 勝也

     湯豆腐やつかみきれないこの気持ち

                     岐阜県立飛騨神岡高等学校 三年 吉田 美来

     とび箱を六段とんで春休み

                          関市立安桜小学校 六年 植田 聖人

     頑なに無表情なり冬の池

                       京都府立洛南高等学校 二年 安岡 佑樹

     クレヨンで咲かすさざんかピンクかな

                       石巻市立万石浦中学校 二年 菊池 駿弥




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