小 熊 座 2010/12  №307 当月佳作抄
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     2010/12  №307  当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    日は痛し翳れば淡し帰り花          増田 陽一

    わが血には博徒に山師曼珠沙華      阿部宗一郎

    遥かとは雪来るまへの嶽の色        我妻 民雄

    茫々と老年熱中症の夏            阿部 流水

    マーラーの時代が来たり柘榴裂け      大場鬼奴多

    捨てられて三四日めの猫に月        遅沢いづみ

    地球から落ちる人なし薔薇の花       青野三重子

    究極は火群立つこと唐辛子          佐藤きみこ

    陵王を舞ひ終へしごと公孫樹散る      阿部 菁女

    牛の眼の中にありけり長き夜         澤邉 美穂

    陸前は烟たきところ曼珠沙華         土屋 遊蛍

    戸袋に木犀の香と夕闇と           蘇武 啓子

    豊年や底の抜けたる空の色         田中 麻衣

    おみがきに檀家総勢親鸞忌         足立みつお

    大の字くの字曲玉園児らの昼寝       平川よし美

    花すすき言葉決めれば透き通る       髙橋 森衛

    神座すかな音跳ねる秋の川          清水 智子

    秋燕の記憶をのこす夕日の木        小笠原弘子

    奥多摩の茗荷の子なり五男坊        須﨑 敏之

    バカボンのパパでいいのだ秋刀魚焼く    小野  豊

    色なき風フライドチキンの骨残り       佐藤 成之

    胸中に立てば金色冬の波           浪山 克彦

    地図になき海の奥より秋の声         安藤つねお

    冷やかに大陸らしく物を言う          俘  夷蘭

    大海のその底知らず渡り鳥          安海 信幸

    秋草に狐の尾ありすぐ消える         竹中  華

    こころとは毬のようなり曼珠沙華        菅原みよ子

    黒髪の笄ぬけて流れ星             中村  春

    雁渡し橋のかたちに灯の点り          日下 節子

    半額の刺身を提げて小望月          田坂名雅子

    身体は最初の他者ぞ運動会          むらたつひこ

    やませ吹く三陸海岸おどろかず         一組 一朗 



  

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