小 熊 座 2010/10  №305 当月佳作抄
TOPへ戻る  INDEXへ戻る




  
                            
     2010/10  №305  当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


   ころり行くはずなのですが大雷雨           佐々木とみ子

   竹皮を脱ぐ途中天へ行く途中             平松彌榮子

   列島を祈る形に折りて夏                浪山 克彦

   東北の木下闇なる古謡かな              矢本 大雪

   炎昼の海底にある昭和かな              澤口 和子

   栗林千津雷鳴にはにかみて              菅  邦子

   幼子と浮き輪イルカのやうに鳴く            松岡 百恵

   はがさねばはがれぬちから蟬の殻          大野 黎子

   鳳仙花はじけ帰船がまた一艘             大森 知子

   溶けそうな蝶が一頭原爆忌               武田香津子

   その名ほど苦しくはなし半夏生草           中井 洋子

   髪洗ふ森の深きに入るごとし             大澤 保子

   夕焼やゆっくり歩けない雀               青野三重子

   夏草に雲の影あり父の声                佐藤 みね

   馬穴の国で喘ぐ目高もザリガニも           森  黄耿

   余命ある故噴水を眩しめり               阿部 流水

   星流れ携帯電話発光す                 小野  豊

   夏空をのせて張りゆくつけまつ毛            髙橋 正子

   影無数編み込んでゐるレースかな           小林  檀

   人と居て一人と思ふ大暑かな              瀬古 篤子

   流星の降る音聞いたかもしれぬ            澤邉 美穂

   本籍はいまだに隅田川の蝶               髙橋和か子

   胸中の扉は開かず蚯蚓鳴く               日下 節子

   竹皮を脱ぐや恋とは対ふもの              千葉 百代



  

パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
  copyright(C) kogumaza All rights reserved