小 熊 座 2008年11月 当月佳作抄
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  2008年11月 当月佳作抄
  ムツオ推薦




 新藁に睡りて蹄矢へり             木村 えつ

 倒れたき高さにありぬ夜の噴水       中井 洋子

 秋雨の沈殿物にほかならず          我妻 民雄

 人恋へば胸の奥から草いきれ        山本  源

 塩竃の余白に秋の夕焼かな        小笠原弘子

 夏永しわけても団子坂の車夫       須崎 敏之

 波音の眠ることなし望の月          澤口 和子

 靴紐のほどけ易さよ百日紅         増田 陽一

 人が尾を忘れたころの鱗雲         渡部州麻子

 曲りくる川の面暗し秋海棠          森  黄耿

 ししうどや秩父に金子伊昔紅        佐々木とみ子

 秋霖にこらえるもよし故郷は        菊地 恵輔

 紅萄葵ひとりも降りぬ無人駅       橘  澪子

 背ナ見せて鯉沈みたる秋思かな     渡辺 智賀

 遥かとも思いし彼の世誘蛾灯       畠  淑子

 絵空事聞いてあげよう星月夜       関根 かな

 縄とびの縄の向うも秋の風         阿部志美子

 わが秋思ペットボトルのくびれほど    菊地乙猪子

 擂り鉢の円の幾重に月のぼる       高橋 正子

 長居して日雷の二度三度          松本 廉子

 帯ほどくとき曼珠沙華曼珠沙華      大西  陽

 指先に潮の香りの夏休み          金澤ひろあき

 我が身から一本の道鰯雲          柳  正子

 底辺はここにあるかと女郎花        鈴木須美子

 帰省子に大陸の風匂いけり        村田斐路子

 新涼や毘沙門天は眼を閉ぢよ       安海 信幸




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