平成17年2月5日 土の会


高野ムツオ選

      ポケットの思わぬ広さ冬銀河       高橋 森衛
       主宰評・・・・素直に伝わり完成度がある。広さまで着目したのが良く冬銀河との対比良し。
               類想感あるこれ位が標準的な句。


     恐竜に気嚢のありて春の空    岡本さだこ 
       主宰評・・・句柄が大きく気宇壮大。

      めがねはずせば蝶の声あり杉並区  平松 彌榮子
       主宰評・・・発想がよく杉並区が効いている。



入選 

鵯がギイとねじまく春隣    我妻 民雄
      主宰評・・・中七のいい言い方で「春隣」が効いている

犬釘の抜けし地球や竹の花   畠 淑子
      主宰評・・・犬釘という存在感のあるものを言い得ているが「竹の花」が理に落ちる

青銅の馬から春の町が鳴り   越高 飛騨男
     主宰評・・・楽しくヨーロッパ的な句だが実感薄し

郷愁の羅紗の手ざわり春の犬      安藤 つねお
      主宰評・・・雰囲気がいい

切株に山茶花の散る空白     白田喜代子
      主宰評・・・切株と限定した言い方で存在感あり

地の果てのあるかと聞かれ冬雲雀    木村 えつ
      主宰評・・・ 地の果て「は」ではないか。冬雲雀が良い

地震の村愛しいとしと雪女         畠 淑子
      主宰評・・・パンチのある句。時事を取り上げることは難しいがよく書けている。

そこここにメール打つ指憂国忌 畠 淑子
      主宰評・・・ 憂国忌では無く「三島忌」位でいいのでは

陽光の終着点として冬目     我妻 民雄
       主宰評・・・陽光が強いのでもっとあっさりのほうがいい

発想の穴を嘖む春の霰      越高 飛騨男
        主宰評・・・・・・・自虐的で面白し

ボタン押し違え全山梅真白 平松彌榮子
         主宰評・・・自分のなかの予想外の気分が書けている

人声の形にくぼむ春の泥      高橋 森衛
         主宰評・・・感性だけで読んだ句で上五中七が面白い

関東山襞兄と山犬の雪暮なり    須崎 敏之
          主宰評・・・「関東」より秩父くらいがいいのでは

蕗の薹のあたり時間が先になる   中井 洋子
         主宰評・・・ 句の評価が分かれる句。「時間が先になる」ならば季語付きすぎ

街中を羽根つけて飛ぶぼたん雪   岡本さだこ
          主宰評・・・ 発想は新しくないが「街中」でこの句がよくなった

幼子のつぐらより消え月は春    安藤つねお
         主宰評・・・・ 陸奥の子殺しを思わせるのがいい





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