小 熊 座 2024/7   №470  特別作品
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     2024/7    №470   特別作品



      教室は      鎌 倉 道 彦


    青やませ南部ぎゅぎゅうと縮みおり

    マネキンに手足をつけて夏に入る

    万緑や友の訃報に立ち上がる

    夏の月ストレッチャーの硬き音

    父の忌や凍星ことんと落ちてくる

    冬満月わが影とても冥すぎる

    また少し命を削る薬喰

    寒月や弛むマリオネットの糸

    凍星や真空管ラジオの雑音

    鬼という字はさびしいよ鬼薊

    謄写版の網が捩れる梅雨じめり

    黒板を拭く夕焼の色を拭く

    指示棒の先の曲線夕の虹

    夕焼けや学校という檻の黙

    妙に明るい退学の子と虹と

    暗室の小窓全開青田風

    またチョーク折れて教室梅雨きざす

    夜学子や鉄粉零しつつ座る

    暗室のドアノブ固し夕時雨

    ぼたん雪最終講義の黒板



      風薫る      伊 澤 二三子


    朝風や薄縁匂ふ夏座敷

    とほりがけ香の濃かりけり薔薇の庭

    夏鶯こゑ貫ぬきて近かりき

    風薫る魯迅の野草引き出しぬ

    薫風裡手酌一杯わが夕餉

    新樹光紫式部文化人

    新緑やスカイツリーの街の空

    北九州になんじやもんじや通りあり

    青嵐や奥道中歌額縁に

    旧校の先師の銅像夏木立

    八十寿まで喜怒哀楽の洗ひ髪

    まなじりを一頭よぎる黒揚羽

    噴水の飛沫に似たり人生は

    草花鉢の土の乾きに打水す

    日傘さし普請進捗守る影

    薫風や松の影入る蚶満寺

    青草にまぎれし鋏ゴミ置き場

    青山椒摘んで指先匂ひ沁む

    明易やゆるりゆるりと今日もまた

    さみだるる大高山の一里塚



      冬 晴      宮 崎   哲


    冬木立地底の暗き声を聞く

    冬晴れや地中に巡る下水道

    小春日や玩具散らばる畳

    冬銀河戦争ばかりの地球人

    積読の書物崩れし十二月

    枯葉舞う一葉ずつの命かな

    国境の道なき道に霜の花

    軋み合う貨車の連なり冬の虹

    ベランダの洗濯物や冬日向

    腰痛の筋トレ百回冬銀河

    寒風の裏道抜けて多喜二の忌

    冬晴れの三両列車小さき駅

    マンションの九階目指し枯葉舞う

    神の旅留守は見習戸を閉じる

    青空や天まで届けと枯葉舞う

    ラグビーのスクラム低しかけ合いや

    古里や奥羽山脈雪越えて

    十二月デパート混雑列の中

    地底とは地球の底や枯葉踏む

    冬空に鉄骨クレーン伸ばしおり






 
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