小 熊 座 2023/7    №458 当月佳作抄
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     2023/7   №458   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    糸とんぼ地図に残りし児捨川             渡辺誠一郎

    遺す言葉にもなけれど豆の飯            日下 節子

    永遠の別れなどなし桐の花              土見敬志郎

    すかんぽの風や貧窮問答歌             沢木 美子

    草笛を吹いて呼び寄す草の神            永野 シン

    玉針に翅開ききる揚羽蝶               春日 石疼

    白き帆の蝶となるまで目を瞑る            小田島 渚

    旅始まる富士と茶畑右に見て             栗林  浩

    メーデーやトカトントンの未だ聞こゆ         武良 竜彦

    幾筋もなめくじの跡義民の碑             平山 北舟

    田植うた鬼籍の父が耳すます             蘇武 啓子

    腐草蛍となる夜語りの美髯              中村  春

    混凝土の色ともなれり雨蛙              坂下 遊馬

    遠雷やサランラップの端はどこ            渡辺  柚

    月光をすべて集めて揚羽の死             髙橋  薫

    砕けし波集めて白き大牡丹              𠮷野 秀彦

    鉄串の如く蚯蚓の直進す                長谷川克史

    遊牧の民となりたし星涼し               大河原真青

    余るほど刻はなけれど春満月             鯉沼 桂子

    入学の日の雨今も降りやまぬ             水月 りの

    頭痒くて真っ黒な蜘蛛放出す              𠮷沢 美香

    東京の街は眠らず火取虫                斎藤 友大

    行く春やよく生きたればよく死なむ           菅原 啓雄

    棄山を大舞台とし藤の花                馬場 小零

    水無月や地球は青き果実なり             龍  太一





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