小 熊 座 2023/6    №457 当月佳作抄
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     2023/6   №457   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    吾が衰へ吾のみぞ知る草の絮          増田 陽一

    花冷えの鐘が川面へ川底へ            日下 節子

    しゃぼん玉一生もたぬ着地点           丸山千代子

    きりのなき家事切り上げて夕桜          永野 シン

    春雨の夢の母まで濡らしたる           平山 北舟

    泥濘はこの星の膚初音して            𠮷野 秀彦

    蕨飯頬張つて笑む鬼の裔             大河原真青

    国道は狐狸轣くところ梅雨の月          龍  太一

    地に貼りついているたんぽぽは元気です       中鉢 陽子

    うぐひす餅の粉を払ひて退職す          佐川 盟子

    春泥に戦車を止める深さあり           江原  文

    消すなかれ雨夜に轢いた骸跡           𠮷野 和夫

    浅草寺大提灯へ黄砂降る              瀨古 篤丸

    霞より齋藤愼爾現れる               佐藤 成之

    風船の紐これ蜘蛛の糸かしら            八島ジュン

    蝶ほどき天体を編むための糸           小田島 渚

    子の頬に母乳の雫菜種梅雨            須藤  結

    この背に翼授けよ春夕焼             関口 渓人

    たらっぽや雲一片もなき空に           山内 伸一

    卒業や傘掛けの傘揺れている          檜野美香子

    我を我が励ます拳柚子の花           斎藤 友大

    暖かや踏まれし草の戻る音            樫本 由貴

    チューリップ繋がれてゐる陶の犬        長濱 藤樹

    再稼働停止や否や蝶に問へ           齊藤 千冬





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