小熊座 句 集
 羽化の街  小田島 渚
      


現代俳句協会
定価 2200円+税


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 『羽化の街』    小田島 渚


 小田島 渚(おだしま・なぎさ)

 1973年  宮城県仙台市生まれ
 2020年  第44回宮城県俳句賞(2019年度)
 2021年  第39回現代俳句新人賞
 
 現在 「銀漢」同人、「小熊座」同人、現代俳句協会会員
 仙臺俳句会(超結社句会)運営

 



   本句集は、俳句を独学ではじめた2009年1月から2022

  年秋までの14年弱の作品のうち306句を編年体によらず編成

  しています。兜太現代俳句新人賞の副賞という大きな機会をい

  ただき、第一句集上梓の運びとなりました。受賞作品50句『真

  円の虹』は選出して収録しています。句集名は <白南風や軋む

  音して羽化の街> からとりました。

   世界を言葉にしたがゆえに言葉の隙間からその多くがすり抜

  けてしまいます。それでも言葉と向き合うのは、有限の命を持つ

  者の無限に触れたいという欲望があるからかもしれません。

                     
(「あとがき」より)




   
高野ムツオ 十句選


  みなかみに逝きし獣の骨芽吹く

  子猫から子猫分裂したやうな


  足生えて歩き出す岩はたた神

  背中にも眼のある巨人青嵐


  
現身を欲して鹿の子の水辺

  日輪のほどけし南瓜スープかな


  蹄より馬は火炎に天の川

  血だまりのごともつれ合ひ秋の蛇

  あをぞらの果実?ぐかに氷柱折る

  やがて鳥の心臓が生む冬銀河





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