小 熊 座 2022/7    №446 当月佳作抄
TOPへ戻る  INDEXへ戻る



     2022/7   №446   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    臍の緒は闇に縮まり春の家            渡辺誠一郎

    糸とんぼつるむ揺がぬ青を以て          津髙里永子

    こどもの日子無きは雲を胸に抱く         久保 羯鼓

    此の星は漆黒に泛き豆の花            須﨑 敏之

    ハキダメギク咲くや五月の世田谷区       我妻 民雄

    消毒に始まる黄金週間も              土屋 遊蛍

    蛇口よりたましひしたたり落ちてくる       小島ノブヨシ

    踏んばつて立つべし汗の黙禱は         春日 石疼

    山藤と火力発電所の煙              永野 シン

    さるをがせ古代大陸移動説            八島 岳洋

    水切りの石のきれ味初燕             丸山千代子

    夏雲湧く東北原生樹林帯             大河原真青

    黒玉子割れば金色荷風の忌           布田三保子

    此の世でも彼の世でもなき桜の夜        蘇武 啓子

    一日に一事どうにか月朧             田中 麻衣

    老は敵と心立たせり雁の声            小野 郁巴

    鶏舞の兜きらりと夏はじめ            千葉 百代

    春の暮新幹線のとろとろと            岡村 直子

    虹立てり濡れ犬胴を振るときに         佐川 盟子

    太陽の花びらであり春日傘            𠮷沢 美香

    蒲公英の絮の王国きのふまで          坂下 遊馬

    水の音憑いてくるなり白牡丹           伊澤二三子

    信じたき方へぐるぐる金魚たち          阿部ゑみ子

    魔鬼山の婆の小袖や桐の花           千葉 悦重

    初蝶のそれからのこと誰も知らず        棟方 礼子

    造山運動花合歓の睡る間も           龍  太一

    水没林湖を鏡にして芽吹く            阿部 貴美

    鳩杖を置きて体操黄水仙            小野 道子

    湖の底の底まで雲の峰             水戸 勇喜

    星におう知らぬ地に嫁し鰯叩く         髙橋美紀子





パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
  copyright(C) kogumaza All rights reserved