小 熊 座 2020/4    №419 当月佳作抄
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     2020/4   №419   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    朝の霜無音無色彩の未来            春日 石疼

    国境は見たことはなし牡丹鍋          渡辺誠一郎

    触れるものどれも神さま蕗の薹         日下 節子

    水際の光を纏ひ春待つ木             土見敬志郎

    狛犬の舌見えており牡丹の芽          永野 シン

    戦争の語り部の背に立つ鬼火          沢木 美子

    鍋墨に狐火という宇宙かな            須﨑 敏之

    からだぢゆう金属の音星凍つる         八島 岳洋

    たんぽぽ王国ひとも羆も踏み入れず      増田 陽一

    白魚にしかと眼のありにけり           田中 麻衣

    避難民の一化身なり氷瀑は           大河原真青

    騏驎には騏驎の高さつくしんぼ          丸山千代子

    吹越や頰に触れるは母の手か          神野礼モン

    眼より溢れあふれて冬青空           武田香津子

    春月となるまで廻れ観覧車            草野志津久

    粉雪と無数の影の擦過音             髙橋  薫

    星屑を払ひコートを脱ぎにけり          斎藤真里子

    冬木道上九一色村消えし             今野まさる

    この寒さ津波の夜に及ばざる          石の森市朗

    行く鴨や厨に届く夕日影             大坂 宏子

    寄りかかるもの何もなし雪をんな        小田島 渚

    うすらひの潦オリオンに翳            宗像眞知子

    合掌の人の形に雪降れり            後藤よしみ




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