小 熊 座 2017/8    №387 当月佳作抄
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     2017/8   №387   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    墓原に波の音ある麦の秋                 土見敬志郎

    学校に生れては死ぬ蟬の声                我妻 民雄

    アイスクリーム湖はもとより冥き水            中井 洋子

    永らへば誰しも小町合歓の花               さがあとり

    アルバムに茂る夏草震災地                阿部 流水

    とうすみや父を愛すは父の死後              あべあつこ

    神仙に鬚あるならばさるをがせ              浪山 克彦

    大皿の煮魚の照り麦の秋                  日下 節子

    昼顔や胎毛筆の遣りたる                  土屋 遊蛍

    土偶にも正中線のあり薄暑                 佐藤 弘子

    掌も足裏も背中も大暑かな                 郡山やゑ子

    君が代の低唱とどく黴の花                 神作 仁子

    戦闘機月下美人が香を放つ                中村  春

    炎天やここにお歯黒溝ありき                田村 慶子

    アマテラスの放尿あとか黄金麦              𠮷野 和夫

    詩片ひろげるよう水を張る棚田              斉藤 雅子

    玉造郡の生まれ茗荷の子                 蘇武 啓子

    蚯蚓には蚯蚓の渇き炉心燃ゆ              丹羽 裕子

    青嵐屎尿反吐より神生れて                春日 石疼

    あめんぼの去って一人っ子へ戻る            一関なつみ

    一生や蛇殺したる日の白さ                 後藤 悠平

    雨やもう死ぬ蛾の翅のかがやきぬ            樫本 由貴

    寂しさはピアノにとける若葉風               山寺佐智子

    胎児に腹蹴られしはなし夏霞                佐野 久乃

    まなうらに銀の一筋縞蜥蜴                 江原  文

    脱けきれぬ被災の坩堝竹の秋               千葉 百代





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