小 熊 座 2017/7    №386 当月佳作抄
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     2017/7   №386   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    白光の坂東太郎梅雨兆す                  津髙里永子

    がらくたに手足の生ゆる梅雨の宿              阿部 菁女

    てのひらにからみくる水春の宵                中井 洋子

    飲食(おんじき)のかなはぬ身にも星涼し                 浪山 克彦

    嘴広鸛のごとポストあり春の暮                増田 陽一

    大いなる懐か青蘆原は                    日下 節子

    田水張る近江は風の湧くところ                大西  陽

    遠蛙苦海浄土に栞差す                    丸山みづほ

    心にも骨葉桜の夜は軋む                   草野志津久

    白長須鯨のよぎる夜の代田                 坂下 遊馬

    葉桜や一番星につづく星                   斎藤真里子

    アーリントンの万の墓石鳥帰る                栗林  浩

    岩手切炭となる木に若葉雨                  四戸美佐子

    手に取れば浮雲となる春帽子                清水 智子

    春の雲線量計も被曝せり                   佐藤 成之

    イーハトーブ星の固さの青胡桃                杉  美春

    長屋より産声山の桜まで                   丸山千代子

    カキワカバホネヒロウニモハシガイル            大森  海

    迷わねば海月も我も生きられぬ               須藤  結

    老いゆくか夏の鷗のまぶしさに                江原  文

    容赦なく炎え爆音下帰臥ならず                斉藤 国彦

    空瓶の吐き出してゐる霞かな                 佐々木智佳子

    台所の食器の山や鯉幟                    服部 奈美

    新緑は啄木の色ごろ寝する                  佐藤 レイ





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