小 熊 座 2017/2    №381 当月佳作抄
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     2017/2   №381   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦




    仮の世のまだ夢みたい干蒲団            沢木 美子

    みちのくのわれもサル目着ぶくれる         渡辺誠一郎

    空席といはず冬日の席といふ             我妻 民雄

    開戦忌防毒マスクにも目鼻              増田 陽一

    はぐれ牛の一頭として年迎ふ             浪山 克彦

    ゲルニカは小さき町の名雪が降る          大場鬼怒多

    大根を引けば傾く不忘山                永野 シン

    忘年や牛のどこかを皿にのせ             布田三保子

    妹の産声聞きし冬日和                 郡山やゑ子

    もともとが半透明の冬木立               矢本 大雪

    電飾の不意の点灯開戦日               大久保和子

    クリスマス商戦クリスマス停戦             さがあとり

    スーパーのチラシに朝陽十二月           遅沢いづみ

    聖樹の灯海底までも届くべし              丹羽 裕子

    鉄の雨くぐりし姉に冬の雨               中村  春

    枯菊や海鳥の声天に満ち               斎藤真里子

    手の皺に冬日摺り込み默とする            篠原  飄

    尾花その一穂として夢を見る             須﨑 敏之

    骸にも溜まりを作る冬の雨               相原 光樹

    樅の木は柩に佳き木霜の花              草野志津久

    白息や虜囚となりて見ゆるもの            村上 花牛

    鯉の水輪時雨の水輪師の忌なり           佐野 久乃

    どの足もみな家族なり夜の炬燵            丸山千代子

    雪のこゑ聞きしはじめは母の胎            清水 里美

    放哉の墓が見ている冬の海              島田 章平

    橡の実の欠伸してゐる十二月             唯木イツ子

    羊水のような陽だまり返り花               大友セツノ

    終着は見えぬこと良し虎落笛             板垣  茂

    荏胡麻炒る時母の声妹の声              伊藤  薺





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