小 熊 座 2016/2   №369 当月佳作抄
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     2016/2  №369   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    海境の陽より大綿生れたる             土見敬志郎

    耳も目も穴の一つや春を待つ            上野まさい

    冬星の綺羅や失うものはなし            越髙飛驒男

    電線は地中にありぬ冬銀河             髙橋 彩子

    艮の光源として龍の玉                我妻 民雄

    約束は人間のみに山眠る              小笠原弘子

    姫君のかくしどころか葉牡丹は           浪山 克彦

    人間に影みそさざいに詩あり            柳  正子

    何処より来たる帆船冬の鳶             日下 節子

    軋み合う貨車の連なり冬の虹            宮崎  哲

    一位の実口に含みて脛巾神             永野 シン

    冬菫思ひ出古きほど新らた             瀬古 篤丸

    トウキョウダルマガエル被曝す冬眠す       須﨑 敏之

    雪螢命は命より生るる                小野  豊

    鶏頭のその幻影がどうしても            春日 石疼

    額縁のごとく窓あり父の冬              松岡 百恵

    光り合い揺すり合うたび蘆枯るる          神野礼モン

    自力他力あとは念力枯かづら            さがあとり

    原子炉を遮ぎるたとえば白障子           渡辺誠一郎

    わが地球霧氷生まれて音なき音          斎藤真里子

    風花の地祇へ舞ひくるはるかより          平山 北舟

    安達太良に雪胸中に詩語の渦           橋本 一舟

    海を恋ふ会津身不知掌にのせて          坂本  豊

    原爆ドーム明るし犬の息白し             樫本 由貴

    大障子開くフクシマ見ゆるまで            後藤 悠平

    冬耕や鍬に映せる空の蒼              池田 紀子

    鮟鱇は踏まれ蹴られて糶を待つ           岡本日出男

    義士の日や履きつぶしたる靴いくつ         佐野 久乃

    またゆがむ地底のありて冬青空           佐藤 みね

    思い切り被災の話牡蠣を喰う             松本ちひろ

    廃校の窓が歪んで山眠る               鎌倉 道彦

    旧水沢県庁として冬仕度               田村 慶子

    両腕はかつて翼や大冬日               丹羽 裕子





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