小 熊 座 2014/8   №351 当月佳作抄
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     2014/8  №351   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    三界を抜けきし罌粟の搖れらしき            平松彌榮子

    雪溪を吹き割ってきし風を浴ぶ              佐々木とみ子

    印度より来たり仏も黒南風も               我妻 民雄

    この山に骨埋めよと万緑す                土見敬志郎

    訣れ来て蛍蛾のゐる道路鏡                増田 陽一

    夏桑はこの世の青を丈となし                中井 洋子

    初夏は波音ばかり麦粒腫                  土屋 遊蛍

    ががんぼのいづれが亀之助なるや            永野 シン

    木には木のちからのありて青葉光             小笠原弘子

    梅雨満月イコンの額ぬかに上りけり            浪山 克彦

    顔黒の一句を遺し雲の峰                  遅沢いづみ

    抹消は一行で足る夏の雨                  森  黄耿

    その憂さはビールの泡にのぼるほど           松岡 百恵

    売物は忍耐のみや海鞘を噛む               小野  豊

    金の斑のたてがみをもて毛虫這ふ             太田サチコ

    地縁まで攫われたるが蘆茂る                坂下 遊馬

    フクシマの詩は声に出せ道灼くる              平山 北舟

    地球の声なるか青葉のさざめくは              丸山みづほ

    嫌はれている蛞蝓の銀の道                 江原  文

    夏の月琵琶湖疎水は音もなく                中村  春

    何もかも斜に構えて白日傘                 上田由美子





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