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第七回 佐藤鬼房顕彰全国俳句大会 応募部門入選作品


   平成26年3月23日(日)、塩竈市のふれあいエスプ塩竈を会場に開催された。

   応募句数は一般部門1,743句、ジュニア部門4,118句、当日119句、参加者203

  名である。事前句の選考結果は以下の通り。当日句の結果については次号掲載予定。


  〈一般の部〉

 佐藤鬼房奨励賞     

     下萌や生きてゐるもの手を挙げよ            我妻 民雄





  星野椿特選

     駅名の消えて三年や雪の暮               小笠原弘子

     鰤起し塩釜港は蘇る                    蔦 とく子

     山茶花のほろほろ散るや三回忌              水嶋 ゆう


   入 選

     夢の義兄冬の海峡渡り来る                安海 信幸

     忘却は難しきこと帰り花                   安海 信幸

     住み馴れし仮設住居の炉を開く              平間 彌生

     塩竈といえば鬼房春浅し                  小笠原弘子

     蛇穴を出づ原発の賛否論                  圡居ノ内寛子

     道すがら鬼房小径日脚伸ぶ                森 新一郎

     塩竈に金の波寄す初日かな                塗   守

     鬼房忌鎮もる空に凧ひとつ                 伊藤弖流杞(てるこ)

     ものの芽や天地返しといふ除染              坂本  豊

     ゆつたりと朝湯に浸る雑煮かな              花釜 幾雄

     もう三年まだ三年と年守る                  佐野 久乃

     波の穂を永久の墓標に散るさくら             佐藤きみこ

     病には負けじと見上げ冬の星                髙橋 米子

     みちのくに癒ゆる兆しや冬木の芽             鴨志田百代




  
大木あまり特選

     鬼房が来るかも知れず夜水打つ             和田  仁

     溝どぶといふ都に寂びて嫁が君              湯川 秀夫

     トーストは荒野のごとし鬼房忌               石川 暘子


   入 選

     残業の鉄継ぐ火花鬼房忌                長尾  登

     白障子われもひとつのものの影              鯉沼 桂子

     目の前の母にはぐれし春の波             和田  仁

     失火しそうな都市を遠望寒卵                須﨑 敏之

     セーターを脱ぐ一瞬の闇匂ふ               山田 史子

     古びたる臓器大切葛湯吹く                 春田 千歳

     風ばかり耳に残りぬ鬼房忌               小久保 顕

     寒風の似合ふ男と呼ばれたり               春日 石疼

     光源は牡蠣殻山の冬の蠅                 土屋 遊蛍

     聖痕のごとき夕月三月来                  佐藤きみこ

     一本の牡丹焚きたる空の紅こう              浪山 克彦

     秘めごとは樅の葉陰に鳥の恋               浪山 克彦

     腕より点滴の蔓のびて雪                  松岡 百恵

     分数の数式忘れ毛糸編む                  島田 恒子


  西山睦特選

     下萌や生きてゐるもの手を挙げよ            我妻 民雄

     寒風をつつむシーツの白展く                江原  文

     鬼房を探す古本屋の冬日                 鎌倉 道彦


   入 選

     馬車の轍も林となりて鬼房忌                みちのくたろう

     冬ごもり又一枚のパンを焼く                吉岡 桂子

     震災ののっぺらぼうの雪景色               紺野きぬえ

     月山を少しずらして冬構                   伊藤 啓泉

     凍てほぐるる鬼房に筆持たせれば            津髙里永子

     にぎやかに乳歯放れり初御空               山田  桂

     野兎の脚から吊られパリーの灯              瀬古 篤丸

     孑孒や大波起こすつもりらし                杉岡 壱風

     仮住居一部屋掃いて暦果て                 内海 哲郎

     松過ぎの大浴場の桶の音                  平山 北舟

     裸木の影に子の影よく走る                 市島 月美

     腕より点滴の蔓のびて雪                  松岡 百恵

     独楽を打つ度少年になつてゆく              松岡 百恵

     剪定枝束ねてふゆる蕾かな               齋藤 裕子


  高野ムツオ特選

     命名の時待つごとし眠る山                 佐藤 詠子

     夕映や毛虫のままの毛虫の死              山内 栄子

     蛇眠り蟬眠り子もねむっている               佐々木とみ子


   入 選

     白障子われもひとつのものの影              鯉沼 桂子

     顎引いて眼ひらいて結氷期                 清水 智子

     吊革の腕百本の憂国忌                   すずき巴里

     次の世へ冬オリオンの座を移す              柳  正子

     翼なきものは雪漕ぐ父の国                 伊藤弖流杞(てるこ)

     鬼房忌の近き一湾雪匂ふ                  黒田 利男

     光源は牡蠣殻山の冬の蠅                  土屋 遊蛍

     雪の上に雪降り積もり機の音                赤間  学

     近よれば葱畑なり童歌                    斎藤真里子

     この川のしもに被災地冬菫                中村 映子

     碧落のあぎとの外れ蝌蚪の紐                太田サチコ

     貝塚に日の積まれゆく鳥の恋                泉 美智子

     日高見の小吹雪光伴ひて                  関根 かな

     寒星の手に触るるなり鬼房忌                増田 陽一




  渡辺誠一郎特選

     ものを煮てわれら永らふ星月夜               鯉沼 桂子

     梟となりにんげんに近づかぬ                中井 洋子

     下萌や生きてゐるもの手を挙げよ             我妻 民雄


   入 選

     白障子われもひとつのものの影             鯉沼 桂子

     鬼房が来るかも知れず夜水打つ              和田  仁

     綿虫よ戦争は始まつてるのか               すずき巴里

     夕映や毛虫のままの毛虫の死               山内 栄子

     歩くほど死は向う側夜の梅                  松本ちひろ

     風ばかり耳に残りぬ鬼房忌                 小久保 顕

     冬晴や老いの翼の消へぬやう               竹内 葉子

     残生の修羅は知らぬが餅を食ふ              鈴木 佐和

     母さんが雪に埋もれてませんよに            田村 慶子

     たましひは潮風に乗り風花す                坂下 遊馬

     千の日の万の叫びや冬銀河                 鈴木 純子

     露の世の手に余りたる志野茶碗              鈴木 佐和

     老人は退屈蛇は冬眠す                    鈴木 郁代

     聖痕のごとき夕月三月来                   佐藤きみこ



  〈ジュニア部門〉

  佐藤鬼房奨励賞

     箏の胴ふれれば竜の冷たさよ

                             広島県立広島高等学校 二年 青本 瑞季



  髙柳克弘特選
   

      箏の胴ふれれば竜の冷たさよ

                             広島県立広島高等学校 二年 青本 瑞季

     秋風をあい手にサッカーボールける

                         富山県高岡市立伏木小学校  三年 浅倉 和史

     するめいか齧りて真夜中は枯野

                             愛媛県立伯方高等学校 一年 阿部 慶太

   入 選

     つららから花火がでたよぱきんとね

                             仙台市立中野栄小学校 二年 小幡 直暉

     雪が降る目の横通り涙出る    

                             仙台市立中野栄小学校 六年 佐藤 榛生

     あったかい草と木でやくやきいもは 

                             塩竈市立第一小学校 三年 佐藤ほなみ

     いちょうの葉フードの中におくりもの

                              塩竈市立玉川小学校 六年 小熊来夢音

     木枯の街頭ぼ金に姉は立つ

                       福岡海星女子学院附属小学校  六年 井手 康紀

     しまうまのつぎはきりんだあきのげき

                         富山県高岡市立伏木小学校  一年 小林 陽向

     たいこう山とんぼおいかけ手をのばす

富山県高岡市立伏木小学校  一年 島谷 華琉

     秋の山てくてく歩いてたきの雨

富山県高岡市立伏木小学校  二年 室崎 珠奈

     空っ風祖父のゲンコツより痛し

宮城県立小牛田農林高等学校  二年 山崎 健幸

     バイトしてしゅわしゅわサイダー音高し

茨城県立結城第二高等学校  二年 法師人恵太

     手袋の左手だけが知っている

茨城県立結城第二高等学校  三年 宮田祐輝宏

     冬枯や皿一枚のさみしきこと     

                             愛知県立幸田高等学校 一年 山口 友美

     去年今年だるまきょとんとしておりぬ

                             岩手県立水沢高等学校 二年 菊池 香凛

     寒蘭や女教師の結婚す         

                              滋賀県洛南高等学校 二年 下楠 絵里





  神野紗希特選   

     生きてるね氷の下のメダカ達    

                             仙台市立中野栄小学校 四年 國井 優里

     どの声もほたるほうたる夕蛍  

                          福島県立須賀川高等学校  三年 相馬 智佳

     十八歳雪の轍が道しるべ      

                            岩手県立水沢高等学校 三年 佐々木槙子



   入 選



     いまなんじゆきがつもってあかるいよ

   仙台市立中野栄小学校 一年 野呂 颯雅

     カマキリのたまごもうすぐ春ですよ

仙台市立中野栄小学校 二年 佐藤 頼我

     なまはげにおさけをついでなかよしに

仙台市立中野栄小学校 三年 伊藤 俊幾

     雲間からさしこむ光は春の息     

                              塩竈市立第一小学校 五年 佐澤 春花

     鳩の群れだれか待ってるクリスマス

福岡海星女子学院附属小学校  六年 早川 莉央

     あきのよるふとんかぶせるままのかげ

                         富山県高岡市立伏木小学校  一年 菊池 晃希

     秋の夜回てんずしのたまごにげ

富山県高岡市立伏木小学校  二年 室崎 珠奈

     秋の風かこまれている木とわたし

富山県高岡市立伏木小学校  二年 川尻 優希

     カメさんの水かえ秋の三連休

富山県高岡市立伏木小学校  五年 二口 龍平

     飲み干せし麦茶一杯分の恋

茨城県立結城第二高等学校  二年 栗原明日香

     香水をつけて手紙を出しにゆく

岐阜県立飛騨神岡高等学校  二年 尾上緋奈子

     残るのは自我だけ林檎丸齧り   

                            愛媛県立伯方高等学校 二年 福岡日向子

     歪みたる足の小指や冬の蠅     

                             岩手県立水沢高等学校 二年 髙野 啓太

     おのが名を知らぬ兎を抱きしめる 

                             広島県立広島高等学校 二年 青本 柚紀





  照井翠特選

     粉雪や黒い海見る背のふたつ

宮城県小牛田農林高等学校  二年 伊藤  巴

     初もうで母がおくれる表坂        

                              塩竈市立第二中学校 一年 横江 倉至

     マフラーは夢の中でも君を巻く

                         茨城県立結城第二高等学校  三年 中村 愛美


   入 選



     
まだはやすぎる女の子が雪げしょう

仙台市立中野栄小学校 四年 髙橋 優斗

     冬休みレゴつみかさねゆめのまち

仙台市立中野栄小学校 四年 鎌田 惠勝

     ヤマガラに見られてもなお泣く子かな

仙台市立中野栄小学校 五年 三村 侑叶

     おおみそかへびから馬へジャンプする

仙台市立中野栄小学校 六年 工藤  盟

     ぼんおどりみんながきれいにみえる夜

塩竈市立玉川小学校 六年 小野 愛佳

     十二月犬に名ふだがついている

富山県高岡市立伏木小学校  一年 皆川 奈海

     三人でしろいふね見るあきのかぜ

富山県高岡市立伏木小学校  一年 井口 希星

     はっぴょう会くるんと三回てんの秋

富山県高岡市立伏木小学校  二年 林   奏

     大くしゃみ電車が通りすぎました

富山県高岡市立伏木小学校  三年 福嶋 道大

     もち切れたまな板トンと音立てて

富山県高岡市立伏木小学校  四年 田中孝太朗

     桜舞う舞った数だけ出会いあり    

                              塩竈市立第二中学校 一年 船木 宏記

     もちくえばうさぎが見えて光る月    

                              塩竈市立玉川中学校 一年 本城 汐里

     返信は木枯しが届けるらしい    

                            愛媛県立伯方高等学校 二年 福岡日向子

     空を聴き風を数えて冬銀河     

                            愛媛県立伯方高等学校 一年 重松英里南



  佐藤成之特選


     せいざずかんかってまってる冬の空

仙台市立中野栄小学校 一年 芝原久瑠実

     雪景色一人の世界と再会す

宮城県立小牛田農林高等学校  二年 佐藤 夏実

     ストーブを消して縮んだやうな部屋

岩手県立水沢高等学校 二年 佐藤  廉


   入 選

     春が来てがれきの中から新芽出た

仙台市立中野栄小学校 五年 川又みゆう

     雲間からさしこむ光は春の息     

                              塩竈市立第一小学校 五年 佐澤 春花

     秋の風体をとおりでていくよ      

                              塩竈市立玉川小学校 四年 山田 海斗

     まどわくをがくぶちにするいわし雲

富山県高岡市立伏木小学校  四年 高井 想央

     かくかくと動くロボット秋のげき

富山県高岡市立伏木小学校  四年 針山 太郎

     背の高い柿の実赤い登校する

                         富山県高岡市立伏木小学校  五年 井上 莉玖

     星飛んで筑波街道ツーリング

茨城県立結城第二高等学校  二年 石川 勇太

     昨日でも明日でもない日々草

茨城県立結城第二高等学校  二年 竹本  聖

     伸び悩むへちまと私の夏休み

仙台白百合学園高等学校  三年 花岡 沙綾

     返信は木枯しが届けるらしい    

                            愛媛県立伯方高等学校 二年 福岡日向子

     残るのは自我だけ林檎丸齧り   

                            愛媛県立伯方高等学校 二年 福岡日向子

     暗がりのマネキンの見る年の暮

愛知県立幸田高等学校 二年 山田 翔子

     水鳥に木漏れ日ほどの声ありぬ

広島県立広島高等学校 二年 青本 瑞季


                                      *入選者一名辞退。






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