小 熊 座 2013/11   №342 当月佳作抄
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     2013/11  №342   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    曼珠沙華百まで生きて何なさむ               平松彌榮子

    三陸の力溜めたる大南瓜                   小笠原弘子

    日の暮れを鯨波となれり真葛原               土見敬志郎

    父祖の墓わが墓ならず柿日和                増田 陽一

    下駄履いて行くか彼岸へ秋日和               浪山 克彦

    狼の護符わかち合い霧に住む                須﨑 敏之

    草蛍まだ見つからぬ人あまた                 阿部 流水

    原爆忌なかなか取れぬ爪の土                中村  春

    敗戦忌死んで帰れといふ思想                田中  滿

    放射能稲穂は痩身かがやかせ               佐藤 成之

    塩竈の闇市跡に秋日差す                   関根 かな

    色鉛筆虹を見たくば描けと在り                森  黄耿

    亡き子にも月日のありて風薫る               佐藤きみこ

    水ごくごくごくごく新庄祭りかな                田村 慶子

    手つかずの晩年の景白木槿                 清水 智子

    死に頃と言ふ頃あらじ青葉木菟               八島 岳洋

    脇往還一揆のごとき蟬しぐれ                 栗林  浩

    石ころのひとつでをりぬ晩夏光                郡山やゑ子

    津波にて殉職とあり萩の花                  平山 北舟

    地図にないチェルノブイリや曼珠沙華            松本ちひろ

    たちまちに山影迫る秋袷                   塚本万亀子

    フクシマの残暑の防御マスクかな              船場こけし

    この子にも蝦夷の眼花茨                   鎌倉 道彦

    倖せは噴き出す汗のあることと                岡田とみ子



 
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