小 熊 座 2009/5 bQ88 当月佳作抄
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     2009/10 bQ93  当月佳作抄
  
                                   ムツオ推薦

          
 鬣は牛にはあらず大夕焼け             千田 稲人

 生きのびてもの食う音と梅雨のおと           佐々木 とみ子

 はじまりは馬の尾さばき秋の風            平松 彌榮子

 八月のまわりの死者のなかに老ゆ         越高 飛騨男

 むかさりや五万の黒き蝶の翅
                  阿部 菁女

 幻になりそこねたる蝉の殻              中井 洋子

 白桃の尻うつくしき御仏前               八島 岳洋

 水引草気配を花にしてゐたり             我妻 民雄

 毛の国の一番奥に樗の実              山野井 朝香

 朝顔の双葉となりし頃被爆              高橋 正子

 みちのくへ舌伸ばしくる梅雨末期          阿部 流水

 雨虎になりたての身に梅雨長し          矢本 大雪

 たなばたの阿武隈川に舟出待つ          佐伯 秋

 峡の霧一塊寝言(もぞ)の如くあり         平川 よし美

 広島の川面瞬く原爆忌                 足立 みつお

 反乱など聞いた事なし蟻の国            岩井 タカ

 夏霧に梢となりて身を入れし            郡山 やゑ子

 夕立の柱をのぼる昭和かな             伊東 卓

 耳順とは洗いざらしの木綿なり           丸山 みづほ

 現世に蟹葉サボテン咲き出しぬ           安海 信幸

 この悩み秋の空なら溶かせそう           福原 栄子

 青空がこわいと思う原爆忌              中鉢 陽子

 太刀魚の真上の空の青いこと            有馬 周

 ふところに緑陰ありてサガン読む           清水 智子

 かつて色町鬱金の月ののぼりけり          大和田 節子

 じゃがいもの花を花とし水仕事             菅原 みよ子

 蚊帳吊ればさざ波がわきわれは魚          佐藤 みね



  
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