小 熊 座 2008年4月 no275 当月佳作抄
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        2008年4月 当月佳作抄   ムツオ推薦


   底なしの海見えてをり冬の雁         木村 えつ

   初雲雀潮の匂いを曳きながら        小笠原弘子

   雪の夜のおもちゃ箱から汽車が発つ    武田香津子

   翅持ちて躓く冬のペリカンよ         増田 陽一

   寒鴉真金の嘴をかち合はす         越高飛騨男

   拍手を打ち梟の国に入る           土見敬志郎

   わが影が鳥影となり水温む          山本  源

   青空のおくの星空ひなまつり         佐々木とみ子

   暗い所の暗い電球一の午           中井 洋子

   鬼房の轍たどれば梟啼く            大澤 保子

   彼の世まで見えているのか枇杷の花    千田 稲人

   どの波も富士のかたちに春を待つ      佐藤 成之

   月と風話が尽きぬまま氷柱          早乙女未知

   わが頭蓋小楢の風のみかよふらし      吉本 宣子

   建国日富士には煙突が似合ふ        津高里永子

   わが深き眠りを蜷の過ぎるなり        渡部州麻子

   空瓶を洗ひ寒晴容れてをく           森 黄耿

   私の戦後の証人冬欅              相沢 ふさ

   人日の遠潮騒の体かな             清水 智子

   うねり来る潮の面に余寒あり          佐藤 みね

   ほほゑみの音のしてゐる牡丹雪        秋山 笹舟

   裸木の天辺いつも夢の中            宇津志勇三

   鬼子母神角ぐむ蘆に日が戻る         伊澤二三子






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