小 熊 座 2007/7/07 土の会
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 上野芸大側の桜木町会館に高野主宰を迎え7月の土の会。兼題は「零」。



  
句はつねに零より生まる黴の家     高野ムツオ



  

 
 
 
呼べば来る終戦記念日の男       越高飛騨男

 参加者評―記念日の男が良かった。内容が好きだった。
 
主宰評 ― 発想の独自性
 

架空とも零とも違う水中花        木村 えつ
 
主宰評― 少し理屈ぽいが無でも虚でもない水中花の感じがよく捉えられていて
      水中花の哀しみが感じられる。


たましひは身体をまとひ原爆忌       我妻 民雄
 
主宰評― 観念的だか、発想の逆の言い方が良い。


   
入選句 

大洋を抱き上げている夏の空        松岡 百恵
 
主宰評― スケールが大きくて これ位強調したのがよろしい。

万緑に人立ち上がり弔辞読む        橘 澪子
 
主宰評― 万緑と勢いを盛り上げて悲しみに落としたのが良い。

零点はやんまが攫って食べちゃった     畠 淑子
 
主宰評― 可愛い句。発想、題材良し。

短夜やキリン座の首沈みつつ        柳 正子
 参加者の評―夏のきっぱりした形が良い。首沈みつつが面白い。
 
主宰評― 短夜とキリン座の組み合わせ良し。

赤ちゃんポスト百合の香にめまいせり    遠藤 秀子
 
主宰評― 時事俳句だが批評性あり。

梅雨明くる巻きつくもの得し蔓       津高里永子
 
主宰評― 嘱目の句。梅雨明けの感じがよくわかる。

半生てふ不可思議なもの皮鯨        田中 哲也
 
主宰評― 皮鯨が良かった。

雑草のさざなみ寄する午睡かな       柳 正子
 
主宰評― 気分の良い句。雑草が少し疑問。

噴水に乱丁のあり落丁も          清水とよつぐ
 主宰評― 面白く楽しい表現

共に飢えたる白梟と梅雨菌         増田 陽一
 主宰評― 白梟は絶滅種だしよく言えてるが「共」が余分。

あめんぼや水面に日輪描きけり       松岡 百恵
 
主宰評― 素直な句。「や」と「けり」の切れ字二つが良くない。




 

  その他

合歓咲いて西施いくたび蘇る        白田喜代子
 主宰評― 芭蕉の世界からもう一歩踏み出す。
 
桜桃の種みてゼロに戻りたい        細川美和子
 主宰評― 「みて」が物足りない。もっと実感が欲しい。

観音の足が気になる小暑かな        大場鬼奴多
 
主宰評― すこし軽すぎるが、これも良しと思う世界。

蠅蚊零蝉蝶零の明日かな          村山半信
 
主宰評― 文字がごちゃごちゃしすぎ。

炎天を来てノブの在り泌尿器科       須崎敏之

庖厨の騒がしくなる黴の花                  安藤つねを
 
主宰評― 中七を具体的に

杜甫はまだ中腹なり雲の峰         大野 黎子
 参加者評― 新鮮な驚きがあった。
 
主宰評― 杜甫で雲の峰では元気すぎる




 話題作 ♥♡♣♡♣ 


サイレンに尾骶骨あり夏帽子       
 参加者評― 中七に実在感あり。夏帽子と合っている。中七の言い方が珍しい。
 主宰評― 夏帽子が重なるので季語は人事から離れたほうが良いが、なかなか面白し。

梅筵やがて子猫の歩きたり
 参加者評― 実景がよくうかがえる。景良し。
 主宰評― 「やがて」「たり」いいのか。「たり」が強すぎる。

真昼間の天動説のやぶからし
 参加者評―意表をついている。切実感あり。ドラマチック。
 主宰評― 悪くはないが「天動説のやぶからし」がわかりづらい。イメージはいいが
      リアリティが欲しい。



    (写真を撮ったのですがカメラの操作ミスで無くしてしまいました。ごめんなさい。管理人竹丸)



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